2025/11/30 レター
#鵜川医院レター
胃がん検査をどう考えるか 胃がんはかつて日本で最も多いがんでしたが、今は治療と診断が進歩し、早期に見つければほとんど治る時代になっています。日本は世界のなかでも特に「早期がんを発見する技術」が発達しており、検査の受け方を理解することが大切です。 まず入口となるのが ABC検診(胃がんリスク検診) です。血液で「ピ...
2025/11/20 レター
#鵜川医院レター
批判的思考とウィット 日本語では「批判的思考」と翻訳するので、なにやら「相手の言う事を否定しながら考える」という意味にとれてしまうが、英語だとクリティカルシンキングで、別に相手を否定することでは全然ない。 唐突に何を書いているのかというと、医者だってデタラメを言うかも知らん、と常に考えながら患者さんは聞いておいて...
2025/10/30 レター
#鵜川医院レター
あなたの引き出し、閉じっぱなしになっていませんか 外来では時折、唐突に、誰かに言われたか、テレビで見たか、免許証の書き換えか、きっかけは色々なのだが、なんの具体的エピソードもなしに「先生、近頃どうも物忘れがひどくて。いよいよ認知症でしょうか」と言う人々がいる。平均0.5人/日ぐらいだから時折、でもないか。 その品...
2025/10/7 レター
#鵜川医院レター
免疫学者 坂口志文博士が制御性T細胞(Treg)を発見した1995年、免疫学の世界はまだ「ヘルパー」と「サプレッサー」という二つの役割で説明されていました。 私は1993年〜1995年に大学院で主にT細胞を研究しましたからその真っ只中にいたわけですが、ヘルパー、サプレッサーという教科書的な枠組みの中で学んでいたの...
2025/9/30 レター
#鵜川医院レター
コミュケーション論「歳のせい」 「先生、目がぼやけて先日眼科に行きましたら、『歳のせいだ』と言われました」 「その先生は、おそらくあなたが想像する意味とは少し違うつもりで、その言葉を使ったのだと思います。『悪い進行性の病気ではないから、心配しすぎなくてよい』という意図で、安心してほしくて口にされたのではないでしょ...
2025/9/20 レター
#鵜川医院レター
ねじれ腸と腸活 ― 総論 1. ねじれ腸とは 「ねじれ腸」とは、腸管が生理的な位置からずれて曲がりやすくなり、便の通過に支障をきたす状態を指す俗称です。医学的には「腸軸捻転(volvulus)」のような急性疾患とは異なり、慢性的で軽度な形態異常や可動性の高さに基づくことが多いとされます。腸がねじれたり折れたりする...
2025/9/17 レター
#鵜川医院レター
テニスウェアを着て、さっそうと診察室に入ってくる男性がいる。日焼けした肌に、きりりと引き締まった表情。80歳代とはとても思えない若々しさである。椅子に腰掛けると、彼はにこやかにこう言うのだ。 「最近、体力がついてきたように思います」 その言葉を聞くたび、なぜか胸の奥でひっかかる。笑顔はまぶしいほど元気に見えるのに...
2025/9/16 レター
#鵜川医院レター
壁を前に、学者はどう振る舞うか あるインターネット掲示板に、こんな質問が出ていました。 「数学オリンピックの難しい問題に取り組んで、4時間も5時間も考えても全くアイディアが出ません。自分は数学の道をあきらめるべきでしょうか?」 正直に言えば、この質問は冗談(いわゆる“釣り”)の可能性もあります。しかし、もし本気で...
2025/8/25 レター
#鵜川医院レター
小学校における子どもの便秘:知っておくべきこと 文責:鵜川医院 鵜川邦夫 日時:2025年8月28日 於:大山小学校 はじめに 子どもの便秘は、一時的な体調不良として見過ごされがちですが、その実態は、子どもの身体的・精神的な健康、さらには将来にわたる生活の質に深く関わる、見過ごすことのできない重要な課題です。この...
2025/7/22 レター
#鵜川医院レター
「言語ゲーム ― Term 6.1」 患者のA1cが6.1%であった。 6.1という数字で何を思い浮かべるだろうか。カリウムなら「やべー」であろうし、A1cであれば「ああ、食後に上がってるな」である。 そういう職業である。もちろん赤血球寿命は人により違う。血液内科が専門であれば「おや、鉄欠乏?」などと思うのかもし...
2025/7/6 レター
#鵜川医院レター
ROSとホルモン連鎖が明かす“腸活”の最前線 睡眠不足で死ぬ──それは脳の限界ではなく、「腸が限界を迎えるから」という変化球の論文があります。2020年に発表されたこの研究では、ショウジョウバエを徹底的に眠らせずに飼育した結果、腸に活性酸素(ROS)が蓄積し(なぜ?)、寿命が著しく短縮されることが示されました。驚...
2025/6/28 レター
#鵜川医院レター
「薬で痩せる時代」の封筒は重かった 販売促進のために、製薬メーカーが重たい資料を送ってきました。無駄だと思いましたが「読ませる」が目的ならば達成はしています。 思い出したのが先日、「ダイレクトメールを読ませるための嘘800通り」、という記事を読みまして、その内容。 How Many Lies Can You Fi...
2025/6/17 レター
#鵜川医院レター
原子核は♡になるか?──かたちと非対称性の物理学 惑星の軌道はほぼほぼ楕円です。これは17世紀初頭、ケプラーによって初めて体系的に示されたことであり、しばしば誤解されるように、それはガリレオの業績ではありません。ケプラーは、プトレマイオス以来の「円と周転円の組合せ」による惑星運動モデルを破棄したコペルニクス地動説...
2025/5/7 レター
#鵜川医院レター
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー) ~血糖コントロールの「過去」を見せてくれる優れた指標~ AIによる要約 HbA1c(ヘモグロビンA1c)は 過去1〜2か月の平均血糖 を示す検査で、糖尿病の診断・治療に広く用いられています。 赤血球中の「ヘモグロビン」に血糖が結合したもので、血糖値が高いほど上昇します。ただ...
2025/4/30 レター
#鵜川医院レター
私の外来にありがちなこと しばしば患者さんたちは独特の言い回しをしますが、発想が違うため自分のワーキングメモリ(短期記憶部分)でインデックス化(何かと関連付ける作業)できず記憶の宮殿に残らないのです。半日経過する頃には忘れているのが残念。だから時々診療が終わってすぐにメモをすることがある。このセリフもその一つです...