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目次

Google Mapsのクチコミ

何度か食事をしたことがある渋谷のお店があって、ご飯は毎回美味しいんですけど、たまたま店主と話す時間があって嗜好が似ていることがわかり、食事と相まって素晴らしい体験だったため口コミに書いたことがあります。彼は米国西海岸にしばらく居た人で、自分も米国にいましたから日本文化と欧米のそれがフュージョンした味は好きです。料理の内容は十分日本に寄っていますがインバウンドの人たちにもわかりやすい美味しさと思い、紹介したかったので、英語で口コミを書きました。

私の口コミの下に、星4つをつけている人がいまして、それなりに褒めてはいます。しかし店主が「星5つでないのが残念ですが、頑張ります!」と返信している事に驚きました。星5じゃないとだめ、これは米国的な感覚だと思いました。

確かに米国で星4つの評価は褒めてるうちには入らない。3つ、2つ、1つの評価をつけることはあんまりない印象です。一方3つ、2つ、1つの場合は本気のクレームであって、具体的な情報に溢れています。えー?ここまで書く?ぐらい詳細なのがあります。問題があるならば特定しやすく、改善が行われやすいと思います。

ネガティブコメントでも粒度が低い場合、いたずらかもな、で終わってしまいやすいです。日本はそれが多い。

さて20年以上通っているカレー屋さんのそばに焼肉屋があり「溶岩焼き」と書いてあります。怪しげな看板だし、行きたくてしょうがないんだけども未達成です。そこも20年潰れていないからもしかしてすごく旨いのでは?と思って夜Googleマップの口コミを見てみました。すると低評価が多い。おかしいぞ?その中に「食べ放題より安いので時々来ます、まあみんなが言うほど悪くはない」みたいな評価がありました。情報粒度が高いから惹きつけられる。それを書いたのは自称「焼肉屋の息子」で、「焼肉屋の息子による焼肉レビュー☆」なんだそうです。

面白いので焼肉屋の息子レビューの数々を時間をかけて読みましたが、焼肉屋で最重要なのは「肉じゃなくて接客である」と断言しています。実際、内視鏡検査をしていても検査そのものの質は、最高からまあまあ良好ぐらいまでにバラけるし、それは僕だけがわかる。だから患者満足度はひたすら「接客」に依存するだろうと思います。この息子によれば、チェーン店であろうが接客が最高なら高級店を遥かに凌駕し☆☆☆☆☆なのだそう。確かにそうかもしれない。勉強になります。

接客だけ(?)でミシュラン3つ星になったと言われていたのはタイユバンでしたか。トイレに行きたいなと頭の中で思っただけで椅子をギャルソンが引いてくれる、みたいな話を聞いたことがあります。たぶん本当なんでしょう。

話が逸れましたけれど、良いビジネスだ、と思ったらちゃんと評価するのが良いレビュワーの条件で、そういう人を見つけるとなかなか人生が豊かになると思います。

良いレビュワーの発掘の仕方ですけれど、星少なめの、すなわち、サクラの少ないだろうビジネスプロフィールを見つけて、その中で粒度の高い、そしてそこそこポジティブな文章の書き手が優れています。あとはその人を追いかけていくと穴場が見つかる、かもね!良いお医者さんも、そうやって見つけられると良いですね、将来は。

癌になったときの行動(なる前から始まる)

あなたが癌になった時に最初に知ってほしい事

この記事がとても読まれている。(たぶん数百万人は読んだ)みなさんも読んでみてほしいです。感想も聞きたいです。

書き手の真摯なお人柄が垣間見えるけど、良い先生に巡り会えない人がたくさんいるからバズったのでしょうか。東京神奈川に住んでいるだけで皆さんラッキー。

癌治療を専門にしているこの著者は、「なかなか決められない」「名医探しに終始する」「家族で情報共有がされていない」「要らない事を言う親戚・友人」「甘い言葉を囁くヤブ医者」などを見て、患者さんが気の毒だと思っているのでしょう。

いかに早く治療を開始できるか」と結論が書かれているけれど、自分が関わった場合、それに関してはあまり心配しないで良いかな、とは思いつつ読んでいました。診断前から、自分以上に早く治療終了までを考えている医師は少ないと思う。(当院ではなく他院を勧める場合がありますが、そういう事を考えています)自分の提案に対して患者が「それは無理」と言った時点で、その後ちょっとずつ全部がズレるリスクは許容してほしいです。

一方、このエントリーでは大原則が書かれていませんが、治療開始の素早さで予後が変わるのがはっきりわかっている(エビデンスがある)のはがんのステージ3と4です。ステージ2が3に変化する瞬間はあるので、それを想像しながらいつも診察や検査のスケジュールを決めています。いずれにせよ万障お繰り合わせの上、お願いしたいです。

患者さんから「手術がいついつなんだけど、この日まで待って大丈夫か?」と質問を受けます。可能な限り最速のスケジュールをいつも組んでいて、そのアルゴリズムは常にアップデートしていて、それを早めることは無理なんですが、そのように患者さんに伝えることはありません。ステージ3で2ヶ月遅れると予後に差があるとわかっており、大抵そういう人はすぐに治療を開始しています。その質問をするのは大丈夫な人々ですので、自信をもって「大丈夫ですよ」と答えています。

じゃあステージ3ってなんだよ、という事ですが、各臓器で違いますけれども大雑把に言うと臓器内にギリギリとどまっていない状態です。リンパ節に転移したとか。癌専門の先生はステージ3以上ばっかり見ているはずなので、「病院選びしている時間がもったいないから、早く治療を開始しなさい」となるんだろうと思います。

医療費が無料の国はありますが、分け隔てなく全員がきちんと、それほど待たずに癌の治療を受けられる国は日本以外は思いつかないです。「急げ」みたいなアドバイスは日本以外はほとんどあり得ない。日本ぽい記事だなと思って読んでいました。

勝手にファンになる

原 朋邦(はら ともくに)先生、のファンに勝手になってみようと思います。80歳超えてらっしゃるのかな?

院長略歴と論文-ニュートンドクター

熊本大学ってだけで、もう好きです。

私の母方祖父は医者なんですが、曽祖父(やはり医師)が亡くなった後に学費を長兄からもらえず、苦学をして医者になりました。一生恨んでましたが、その彼が卒業したのが熊本医専で、今の熊本大学医学部です。

熊本大学医学部のほうが九州大学医学部より古く、九州No.1の誇りがあるようです。私の大ボスである藤田力也先生も、師匠である岡本平次先生も、佐竹義昭先生も熊本大学医学部で、内視鏡の名医が多いのも好きな理由です。

剣道が好きというのも祖父と重なります。祖父は小田原で開業していましたが、強かったので小田原警察に稽古をしに行っていたそうです。

原 朋邦先生、33年間ありがとうございました!

その先生が半分引退されたみたいで、でも相変わらず、Facebookでお元気です。

Facebookは老人のメディアと言われます。全くその通りなんですけども、知恵がある、そこそこ文章かける、知ってほしいこともある、マネタイズ興味ない、一般人にはそこまで注目されたくない、承認欲求モンスターじゃない、そんな人にはちょうど良い文章を書く場所だと思います。僕も書きますが、患者さんがみていると思うと公開では書けないな。公開でこのレベルの話ができるのは、小児科の先生ならではかもですね。

Tomokuni Hara

原先生の投稿をちょっとアレンジするだけで、良質の医療メディアができちゃう。パクるとこんな感じになります。

マイコプラズマ怖いんだってよ

マイコプラズマを怖がるお母さんに原先生がそんなに怖がるなと言っています。

  • マイコプラズマはそもそも自然治癒する。
  • 早期診断と治療でよくなる事が期待される。小児科ではマイコプラズマの迅速診断をする事がほとんどだし。逆に1週間も経ったら抗生物質は使わないで様子見る。
  • マイコプラズマは増殖がゆっくりなので、他のウイルスや細菌との合併も考慮しつつ治療方法を決めていくので、そもそもマイコプラズマだけ考えないでほしい。
  • ドキシサイクリンを使います。歯牙の着色は問題ないと考える。

当院では迅速診断キットもドキシサイクリンもなく、そもそも他で時間をとられており、対応ができませんすみません。診断そのものよりは感染症としての重症度が大事です。症状が軽度であるにも関わらず不安になることは避けましょう。

ワクチンも安さが大事(そりゃそう)

NEJMに、ワクチンの回数減らせないか、という論文が載っているよと原先生が教えてくれています。肺炎球菌のワクチンも高いので。

シルガード9もうんと高価ですが、アフリカでは1回でOKみたいな研究がされてますね。優秀なワクチンなんです。

コロナワクチンは16000円じゃ高いよね、が今の所のコスパ感。シングリックスは10年大丈夫とされ、4200円/年と思えば、毎年インフル3850円と良い勝負だったので自分はすぐ打ちましたが。

混合ワクチンもっと増えよ

NEJMもそうですが、医学雑誌を「届いた」と表現する原先生は印刷物を取り寄せているんでしょうか。自分には高くてちょっと無理です。さて、The Pediatric Infectious Disease Journal 43(11):p 1046, November 2024. に、大御所 Stanley Alan Plotkin 氏のご意見が載っていましたよ、混合ワクチン増えろってさ、確かに、という内容です。原先生が半角じゃなくて大角で数字などを書いているのがラブリー。自分はこの風疹と狂犬病ワクチン開発で有名なPlotkin先生の名前も知らなかったので、そのWikipediaと、提言(PDFで見られる)も読みました。確かに混合ワクチンでは、混合前よりも副作用が少なくなるのが予測されるので、どんどんやってくれ、とは思います。インフル、コロナの同時打ち、も原理的には副反応減ります。どんどんやっていてよかったです。混合ワクチン、行政主導、ってこう言う部分で頑張ってほしいかも。

僕らもあなた方も情報はネットから

原先生が、子宮頸がんワクチンを、打っていない女性に勧めると「副作用が怖い」と仰り、その情報はネットからなんだと言います。一方原先生は名古屋市の調査報告大阪大学の祖父江先生の研究班での報告を引用して、心配ない事を説明します。この情報もまたネットで得られたものです。怖がる人も勧める人もネットから情報収集はしているのですが、差が出てしまいます。不思議ですねー。しかし、話を聞いてくれた方は打ってくださるという事です。

H5N1とずっと言い続けてきたし、これからも、だ

新型コロナウイルスSARS-CoV2に比較的早く対応できたのは、ずっと人類が鳥インフルエンザH5N1に警戒し続けているからです。SARS、MERSに対応したのもそうですし。今回日本でも鳥インフルエンザが発生していますが、緊張感半端ない。人類への感染がいつ起きるのか、そのパンデミックに対応できるスピードを人類が持ち得るのか。原先生も心配しておられるのかな、などと思ったり。

K2といえばなに

K2で山を思い出すのが普通の人で、ケイツー(注射)を思い出すのはある程度の年齢以上の医者でしょう。ケイツーショックなどという言葉があります。ケイツーは肝硬変の患者さんに静注することがあったのですが、ビタミンと思うなかれ、心臓が止まることがあるぞ、と散々忠告されていたのが私が医者になった1991年ごろの話です。ちなみにブラックジャックもケイツー静注しまくりです(古い医者だからしょうがない、僕はそもそもブラックジャック憧れてない)。もともと出血している人に打っていたわけで、ショック状態になってもアレルギーだかなんだか、機序が不明だったそうなのですが、しかしなんとなしにカルシウムが関係するのかな?という気がしてきました。中国の論文で、JAMAに載ったらしいのですが、ビタミンKのサプリメントが足が攣るのを予防すると言うのです。

グラケーという骨粗鬆症の薬がありますが、これがまさにK2。普通ビタミンKは腸内細菌が作ってくれるので欠乏にはなんねーだろ、と使っていませんでしたが、そういう効果があるなら高齢の骨粗鬆症の方に出しても良いかもしれませんね。あと、普通はマグネシウム(にがり)を勧めています。マグネシウムはカルシウムと対になってバランスをとってくれますので。

思っていても言えない(僕は)

原先生が「風邪薬を飲んでしまったために国会の重要な委員会で居眠りをした」と言い訳をした宰相に対し、いろいろツッコミを入れております。

  • ご高齢なのですから、総合感冒薬飲むのはいかが。
  • そもそも感染症ならば国会に出るのはいかが。
  • 適切なアドバイスをする方がおそばにいないのか。

ハリソンはバイブル

自分もハリソン内科学はバイブルだと思いますが、忠実に守るのはとてもとても無理で勝手に白旗あげているのが原先生との大きな違いでしょう。

まとめ

総じて「必ず一つはためになる知識」があって、時間を無駄にしたくないときには、良いかもしれません。老人のメディアであるFacebookですが、とある良い論文を、知恵者が読んでコメントをし、それを別の知恵者が読んでコメントをする、が起きます。この連鎖はある程度年齢がいかないと無理で、なかなか心地いいものですよ。

chatGPTが想像した原先生

chatGPTが想像した原先生

機能性胃腸疾患

胃腸科に来院する人々の症状は多彩ですが、他院経由の場合「私は逆流性食道炎です」とすでに決定事項のように受診される患者さんもおられます。

しかし、そんな単純な病名で、決まり切ったお薬を使うことにどうも納得できない自分がいます。

そもそも「逆流性食道炎」という病名はその本質を示しません。胃食道逆流症(GERD)のほうが近い。病名自体に異議を感じる。同じ機能性胃腸症の仲間で、機能性ディスペプシア(FD)、過敏性腸症候群(IBS)がありますが、それらを分けて考えることすら好んでいません。その境界は曖昧だし、「機能性胃腸症スペクトラム」とでも呼びたいぐらいまぜこぜなんです。

それぞれの特徴はこんな感じです。

GERD: Gastroesophageal Reflux Disease(胃食道逆流症)

胃酸や胃内容物が食道に逆流し、胸やけや呑酸(酸っぱい液体が喉に上がる感覚)などの症状を引き起こす疾患です。逆流が原因で慢性的な食道炎を起こす場合もあります。原因としては、過酸、下部食道括約筋(LES)の機能不全や腹圧の上昇、胃内容物の排出遅延などが挙げられます。また、ストレスや不適切な食事(脂っこいものやアルコールなど)も症状の悪化要因となります。ただし、多くの患者は胸やけだけでなく、慢性的な咳や喉の異物感、声のかすれなど、典型的でない症状も併せ持つことがあり、診断が困難な場合があります。

FD: Functional Dyspepsia(機能性ディスペプシア)

FDは、胃の不快感や痛み、胃もたれ、早期満腹感などの上腹部症状を特徴としますが、胃の器質的な病変(潰瘍や腫瘍)が見つからない場合に診断されます。原因としては、胃の運動機能異常や知覚過敏、消化管ホルモンの異常、心理的ストレスが関与すると考えられています。患者によって症状の強弱や現れ方が異なるため、治療には個別化されたアプローチが必要です。また、GERDやIBSとオーバーラップすることが多く、単一の疾患として捉えることが難しいケースが頻繁に見られます。

IBS: Irritable Bowel Syndrome(過敏性腸症候群)

IBSは、便通の異常(便秘、下痢、またはその交互)に関連した腹痛や腹部不快感を主症状とする機能性腸疾患です。腸自体に器質的な異常はない、とされていましたが近年機能異常の証拠がいくつか出てきています。腸管の運動異常や腸内細菌のバランスの崩れ、腸と脳の相互作用(腸脳相関)が大きく影響します。発症は感染症がきっかけである事が多い印象で、これはGERDやFDも同様です。ストレスや食事内容が症状を引き起こす誘因となることが多く、心理的な要因が強く影響するため、患者の生活習慣や精神状態の把握が重要です。また、FDやGERDと症状が重なることがあり、診断と治療の際には包括的な視点が求められます。

統一的な視点

GERDでも、FDでも、IBSでも、連続した臓器なので影響し合います。消化管のみならず、呼吸器系や泌尿生殖器系とのリンクすらあります。純粋にGERDだけ、FDだけ、IBSだけ、の典型的な症状を訴えて来院する人々を見ると、彼らは社会に影響を強く受け「GERDはこういう病気だ」と思い込んで自分の症状を強くしていたり、それ以外の症状を隠して話さない、そういう傾向があるように思います。だから解決しない。しかしこのような病態を俯瞰的に理解するのは非常に難しいし、治療は一筋縄ではいきません。これ、という処方はなく、機械学習ではじめて解決できるような複雑さを持っています。

また、病態を理解するためには多くの所見や症状の収集が必要ですが、それが出来ない。患者の記憶力、表現力、理解力などは多様で、情報の共有が簡単ではないからです。それでも、まずは情報の共有から始めるべきです。記憶に頼るのはやめて、記録をつけてください、と言っています。IBSの場合はブリストルスケールが重要。

食事療法

油に関する理解、刺激物に関する理解、食物繊維に関する理解、栄養素、など勉強は多岐にわたり、なかなか難しいですし、良書があるわけでもありません。低FODMAPダイエット(難消化性糖質を避ける食事)や地中海式ダイエットを栄養士に指導してもらうことは近道かもしれません。

運動指導

現時点でメタ解析はありません。だから効かないということでは全然ない。ゲームチェンジャーにもなり得る治療と考えています。太っている人には痩せる効果、痩せている人には筋肉を増やす効果があって、横隔膜を鍛える効果、消化管運動を良くする効果、メンタルへの好影響がある。それらが複雑に絡み合う。しかしそもそもやりたくない人がほとんどで、メタ解析向きでは全くない、というだけです。機能性疾患の難しいところは寄り添うだけでは治らない、成長を促さないといけない、という部分で、子どもの教育と似ています。

薬物療法

プロトンポンプ阻害薬とかセロトニン受容体拮抗薬のような、効くポイントがはっきりした薬は、戦略が立てやすいので多様されます。

一方で試してみるタイプの薬がとても多いことも特徴であり、複雑です。根比べみたいな一面があります。どれだけ多くの引き出しを持っているか、が医師の実力と言えるでしょう。

新しい治療

ペースメーカーとか、振動で刺激するデバイス、超音波で脳を刺激する、みたいなものがあります。おそらく非常に良いので、リーズナブルな値段で治療が受けられるようになってほしいです。

催眠療法

認知行動療法(CBT)の形を取りつつ、催眠に近い方法で患者の調子が改善しているのではないか、と思うことはあります。東北大学の絶食療法は、催眠療法に近いものだと思います。効くという論文は一定数あるものの、やり方が公開されてないので胡散臭さは否定できません。でも最近は「いっそのこと自分でやるか?」という気分になりつつはあります。東北大方式も数十万円とのことで、コストはそれなり。

検査について

水素呼気テストやマノメトリー、他の機能検査やバイオマーカーも日本ではほとんど行えず、残念ながら後進国です。(かといって皆保険制度である日本にはそもそもそぐわない、と言われればその通り)その中で、内視鏡やエコー、レントゲンなどを駆使して、一部の医師が精度の高い診療を志している、という現状はあると思います。

限界

回数診ないとわからない、ということは感じています。簡単によくなる的に言うのはそもそも大して経験がない先生。検査代で稼ぐビジネスモデルもありかな。有名な某先生も「3年通って下さい」と仰るそうですが、確かにそのぐらい診ると良いのかもしれません。患者さんの気づきに頼る部分が大きい疾患群ではあります。

SSRIなどうつなどに使う薬に頼る部分も大きく、これを素直に受け入れてくれる方が増えるだけでもずいぶん違う気はする。

自分の考え

機能性胃腸疾患を俯瞰的に捉えて治療することは、人類の数割の人々のQOLに影響します。その複雑さから考えると、将来は治療が自動化されるべきであり、なるべく質の高いデータを残すこと、が本来我々には求められていることだと言えます。日本は老若男女、平等に医療が受けられて処方内容、検診結果などのビッグデータが世界一正しく収集されている国です。この環境を生かして、今後も質の高いデータ収集を行いそれを還元する事を実行したいと考えます。

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コンピューターを新しくしました

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お気づきになった方がおられると思いますが、診察室のコンピューターを新しくしました。

世の中に悪い人々がいなければ、コンピューターのコードにいちいち電子署名を入れる必要がなくなり、今のコンピューターの能力ならば、10倍以上早いはずなんですが、実際は悪い人ばかりなので、ちょこっと速い、程度になります。全くしょうがないですね。

世の中に、コンピューターウイルスをばらまく悪い人たちがいなければ、地球温暖化は起きなかったはず、というフェルミ推定をしたくてしょうがない自分がいます。

一方で、人工知能は別の意味で無駄にエネルギーを使います。自分はすでに人工知能の助けを借りないとなんの仕事も出来なくなっておりますが、それには大量の計算能力を必要としており、それに使う電力など考えますと、罪悪感が半端ありません。

メタ認知

学生時代だと思うのですが、先輩医師が「アトピーと潰瘍性大腸炎の根っこ部分が似ている気がする」と言っており、その言葉の意味についてしばらく考えていました。一般人には訳がわからないと思いますが、サイトカインの関与や抗原性などを考えた時に、それはある側面では正しく類似性があって、「病態をもう1段階深く考えることは、つまりメタ認知することは、未知の疾患概念の理解や、新規治療のヒントになるのだろう」と考えるきっかけになったのでした。

この考え方は、勉強する上でも役立ちました。医学は膨大な量を覚えることになっているのですが、メタ認知をすると、かなり情報が圧縮可能です。

試験に向けて勉強をする場合、覚えることには時間を使いません。しっかり覚えるつもりでも100%は難しく、それに頼れば大きな失点をしかねません。その代わり、網羅的にあちこち勉強をすることで、なんとなしに「これは以前勉強したこれと似ている」と関連をつける事に時間をかけました。良い点もとれないが、落第しない程度の点数はとることが出来ました。

過去問題が手に入ればそれは重要です。特に当時の出題方式は、大きく発想を変化させた問題が出ません。出題する側にまわればわかりますが、そもそも迷う問題など作りにくいものです。間違った問題を見直すとわかりますが、迷うというよりは誤読に伴うミスが多い。そういうことが過去問を解くと良くわかります。

病理や内科などではよく起きる現象ですが、知識の圧縮さえ最適ならば高得点は可能でした。

しかしそれは試験での話であって、実臨床ではミミック(罠)があると通用しない知識だという事を認識しないといけません。したがって、医師になってからも繰り返し勉強を続ける必要があります。

塾では、講師が気づいたメタ認知を生徒に教えます。もちろんそれで点数は良くなるでしょう。しかしそれは塾講師が気づいたそれであって、自分でそれを気づいた方が本来は良いし、しばしば実臨床を経験していない講師はミミックを無視するので注意は必要です。

Choosing Wisely の情報は公開されなくなった

医師が書いた文章は、読んだ人が不安を残す書き方が多く、慈愛に溢れたりウィットに富むものは少ない印象です。それも無理はありません。患者さんを安心させようとしたけれどすべってしまった、みたいな経験を医師は誰しもしており、気軽な文章は書けないなと考えているのでしょう。

不特定多数向けの文章ではなおさらで、なるべくミスなくみたいな書き方になってしまう。それが硬い。

逆に不特定多数向けで「ぜんぜん大丈夫」みたいな書き方をする人は怪しげな(実際怪しい)治療をしている医師がほぼほぼ全部なのでわかりやすくはあります。

さて、風邪で医者にかかるべきかどうか、という議論がありますね。これがとてもとても難しいです。

いろんな不調は放っておいても治る場合が多いわけですが、「ほっといても大丈夫 vs 大丈夫じゃない」この対決には患者さん要素がかなり関わりまして、啓蒙云々は関係ないからです。

ただ、あるとき「風邪は自宅で治しましょう」みたいな記事を書いていたのが、Choosing Wisely Japanという団体に属する医学生さんで、良い視点だなと思いました。なるべく患者さんの不安に寄り添おうと努力した跡がある。

この文章はしかし彼が書いたものではなくて、Choosing Wisely という団体が提供したもののようでした。ならば自分もその文章を手に入れて患者さんの啓蒙に役立てよう、と思ったんですが……。

もともとは、いろいろな学会に「今行っている医療のうちで、5個無駄なことを挙げるとすれば?」というリストを出してもらったんだそうです。例えば子供に風邪薬を処方しない、老人にベンゾジアゼピンを処方しない、みたいなもの。

それを患者さんに「こういう医療は無駄だと我々は考えている」と情報提供をしていた。風邪診療は無駄が多い、もその一つです。もちろん患者さんは不安だと思うので啓蒙が必要ではあるのですが、それが非常に難しいことで限界がある。

内容はそれぞれの国の事情で変わってくるから、米国、カナダ、オーストラリアなど各国で別々のリストがあり、元々はそれが公開されていました。しかしこの数年でだんだん非公開になっているようです。

自分が考えた理由ですが、患者さんのためと言いながら、このリストは医者側が提供しているという点で、patient empowerment (患者さんたち自身が能動的に医療と関わろうとする意識)と逆の発想になってしまうということがあると思います。しかもwiselyという単語も上から目線です。我々医療者が常に考えるべき倫理的問題には当然文脈というものがあるのですが、公開されればその10文字ないし20文字は文脈を失い一人歩きするでしょう。その弊害が大きくなったために、非公開になったのではないでしょうか。(まだ一部の国では公開されています)

そもそも「これはしない」というリストはあまり意味をなしません。代替の方法を提供できたほうが当然良いので。この運動はあまり長続きしないのかもしれません。この文章を書きはじめたのは2ヶ月以上前で、そのときには choosing wisely 推しだったのに。文章を寝かせているうちに意見が変わってしまいまいた。

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これは更年期ですか

女性が調子が悪い時に彼女たちから「これは更年期ですか?」と聞かれることがあります。

自分は更年期のいろいろな自覚症状はGnRHというホルモンの律動的な放出(や感受性の亢進)が原因だろうと理解しております。違うと思っても検査する手段もないし「良くわからないけれどあなたは月経が普通に来ていますし、月経前症候群と混同してらっしゃる可能性はありませんか?」と逆質問することにしています。

「そうかもしれないけれど、ではなんで調子が悪いんでしょうね」と重ねて聞かれます。彼女たちは答えを探しています。何か世間で言われていることと違うことを言わなくてはいけない気がしました。

考えてみたら月経前は他の哺乳類で言いますと発情期に相当するのでしょうから、周囲への警戒感は強くなって当然ではないかという気がします。発情期の事は専門外ですが、単純な10代20代と比較すると社会性を獲得した30代のそれはもっと複雑怪奇な概念ではなかろうかとも思います。

「もしも若い頃の月経前の調子の悪さと違うとすると、社会性を獲得したその複雑さゆえではないでしょうか」みたいに言ってみたところ頷いていた(やったー)ので、なるほどこの方にはこの方向性で良いのかしら?と思いました。ならばもう少し続けよう。

「そういえば100年ぐらい前の偉いお医者さんでフロイトさんという人が居て、人間の根本的な欲求ってありますよねえ、食欲だとか性欲だとかそういうものですけれど、そういうのが素直に発露できない状況から人間は辛くなり病気になる、みたいな説明をしていた気がします。自分の理解は全然でたらめかもしれないけど、なかなかわかりやすいなーと思っています。のどが詰まる感じに『ヒステリー球』という名前をつけたのもフロイトさんで、とにかく沢山の悩める女性を診察していたんだろう事は想像できるわけです。振り返って今のご自分の状況を見回して、素直に愛情を示すだとか、ハグする(抱きしめる)とか、子供も大きくなっちゃっててそういうのが難しいかったりもするだろうし、環境が何かしら歪みを生じさせた可能性はあるんじゃないかと思うんです。あ、よくわかります?よくわかっていただいて良かったです。なに、食欲に行っちゃってます?食べられないより良いと思います」

ここまで書いて思い出したんですが、太宰治の「人間失格」はフロイトの精神分析を自分でやっちゃってる状態であり、ドイツ語がおそらく堪能であった太宰がフロイトの著作を読んで影響を受けたのであれば興味深いこと、とも思いました。

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chatGPTに太宰治を描くように依頼すると二次創作があまりにも多いために美青年しか出てこなくて困りました。