口で溶けるサプリメント / 肝臓に良いサラダ / MCIスクリーニング検査
目次
東京の建築を愛でる
お友達から教えてもらいました。5月末、東京の名建築を感じるイベント、開催です。抽選受付の締め切りが近いので興味ある方はすぐにチェックを。
ラムネっぽいサプリメントもある

グミも相変わらず好きですが、口の中ですっと溶けるサプリメントがマイブームです。「美味しいから食べて」と私に強制的に食べさせれれてしまった患者さんも結構おられるはずです。
ブドウ糖と片栗粉とクエン酸を混ぜたものがラムネで、低血糖治療にも使えますけれども溶けるサプリメントは材料が異なります。エリスリトール(国内製造とわざわざ書いているということは三菱ケミカル製?)/酸味料(これクエン酸?)、ステアリン酸Ca(固結を防ぎ、型離れを良くする添加剤)、香料、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース=結合剤)、甘味料(ステビア=これ要らないと思う)、微粒二酸化ケイ素(固結防止)、ビタミンD(重量としてはわずか)となっています。固結剤が複数あるのは、中と外で硬さを変えるかららしいです。
このサプリメントは美味しいのですが患者さんに説明するときには冗談で「これ咳が出ますよ」と言います。
錠剤がそこそこ大きいので、口の中で溶かしながら徐々に味わっていると唾液が足りなくなり、だんだんのどがイガイガしてくる……という機序です。これが老人のオーラルフレイルの防止になるんじゃないかということで一部で注目されているそう。実際、辛味成分をこういう錠剤にすることは誤嚥防止になると思います。自分で作れますよ!夏休みにおばあちゃんおじいちゃんの誤嚥予防トレーニングのため、七味唐辛子ラムネを作って文部大臣賞を受賞する小学生、みたいなニュースがあったら良いですね。
口腔内崩壊錠(OD錠、Orally disintegrating tablet)は、口の中で速やかに崩壊・溶解する設計の錠剤です。この一群の内容もバラエティに富んでいます。とあるメーカーのロラタジン口腔内崩壊錠の材料はエリスリトール、結晶セルロース(HPCと同じ)、クロスポビドン(非常によく水に溶けることを利用して崩壊剤として添加する)、ラウリル硫酸ナトリウム(打錠障害を防ぐ潤沢剤)、スクラロース(甘味料)、ステアリン酸マグネシウム(これも潤滑性を保つ役割)でした。似ていますね。他のメーカーではガラリと異なりアスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)、クエン酸、クロスポビドン、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸Mg、ヒドロキシプロピルセルロース、フマル酸ステアリルNa、D-マンニトール(溶解を早くする)とあります。ちなみに先発品では無水クエン酸、ゼラチン、D-マンニトール、香料、l-メントール、バニリン、プロピレングリコールでした。先発品は固結が弱いのですが、なんとなしに材料見るとわかる気がします。
口腔内崩壊錠以前、世の中にはいくつか舌下錠がありましたが、逆に「口腔内でキープする」は理解できない人もおられます。舌下で味わう料理みたいなものも1人あたり5万ぐらいのレストランで出していただいて、バズっていただければもうちょっと周知されるだろうか。あるいは練習錠があれば良いのではないか。
ヘモリンド舌下錠というものが、あの小林製薬から出ていて痔の薬らしい。まったく注目していなかったが、「舌下練習錠」を探していたらGoogleが出してきた。中身は静脈血管叢エキスと書いてあり、さらにわからない。効能だけ見ると月経時の出血過多にも応用できそうだが近寄らない方が良さそう。
さてニトロペン舌下錠というものがあって、こちらはちゃんとしたものだ。いや、重要な薬とも言える。この添加物は乳糖水和物、セルロース、シクロデキストリン、トウモロコシデンプン、ポビドン、ステアリン酸マグネシウムという材料です。ほぼデンプンの塊だ。溶けてなくなることはなさそう。
シダキュア舌下錠はD-マンニトール、ゼラチン(魚由来)、pH調整剤という成分でした。アレルギーのお薬なのですが、ゼラチンを魚由来にしているのはゼラチンアレルギーのリスクを減らしたいのかもしれない。
口腔内崩壊錠は肝臓を経由しないという利点(欠点でもあり万能ではないが)もあり今後も増える可能性はあると思います。効き目も早いので好きです。サプリメントに関しては味覚糖の一人勝ち状態なのが現在です。一時期フィルム型サプリメントもいくつかありましたが、消えていきました。
肝臓に良い最強のサラダを考える
例えば「肝臓に脂肪がたまっている」と言われたら何を考えれば良いのか、どう治せば良いのか。いろいろ方法があると思いますが以下のような食事でアプローチをしても良いのではないかと考えます。
- 低カロリー
- 良い油を使う
- 良い善玉菌を育てる
- 豊富なビタミンやミネラル、タンパク質
以上の条件を満たすのにサラダはどうか、と考えました。そこで最近流行のサラダ専門店のレシピを参考にして、材料、そしてドレッシングについて考えることにします。
材料
専門店いくつかのレシピを参考にすると、腹持ちの良い悪いはあるでしょうが、以下のような材料が見て取れました。
エビ:グリルしたり、茹でたり、燻製にしたり、などの方法で調理 サーモンなどの魚:火を入れたり生で入れたり 貝類もあり、でしょうか、コストなどの面で専門店では採用されませんが トマト:ローストしたり、生で入れたり、ただし糖分に注意 ガーリック:ローストしたり、燻製にしたり、でもガスが増えるか ニンジン:細切りにしたり、適当な大きさで入れたり アボカド:基本は生 シラントロ(パクチー):香り付けとして チキン:ムネ肉やササミを、ローストしたりして入れる ほうれん草:基本は生 ケール、レタス、ロメインレタス、キャベツ:葉っぱ 卵:カロリー注意 ドライフルーツ:入れすぎ注意 ローストコーン:入れすぎ注意 ブロッコリー、カリフラワー:便利野菜 オニオン、レッドオニオン:入れますか? セロリ:好きな人は好き チーズ:カロリー注意 ワイルドライス、キヌア、もち麦等スーパーフード:割と便利 豆類:便利、ガス増えるので注意 ロースト豆腐:美味しいですよ ナッツ類:美味しいけどカロリー注意 瓜系の野菜:ちょっと水が出るので注意 ビーツ:赤い マッシュルームなど:味も良い 他にも色々あるのかなと思って人工知能に聞いてみると以下を補足してくれました。 フレッシュフルーツ ラディッシュ(まあ、大根で入れてあるつもりだが) パプリカ フレッシュハーブ:ミント、ディル、バジル、タイム、オレガノ スプラウト類(まあ、もやしで入れてあるつもりだが) ゴマ、カボチャの種など 海藻が見当たらないのが気になりましたが、まあ良いでしょう、好きな方は入れてください、豚ヒレ肉も良いんじゃないかしら
ドレッシング
ドレッシングは、アマニ油かオリーブオイルをベースにして、その1/2程度の酢を加えておき、塩分は2-3%程度になるように調整すると良いでしょう。その他添加物として、
各種スパイス(バジル、オレガノ、胡椒、唐辛子、チポトレ) 醤油、味噌、各種調味料 ヨーグルト、チーズ すりおろし野菜
などを取り入れればバリエーション豊かなものとなりそうです。
果たしてこれで脂肪肝改善に役立つのかわからないわけですが、何もしないよりはした気になりそうではあります。がんばって。ちなみに自分は野菜がやや苦手です。
サラダが大好きな方にいくつかリンクを置いておきます。
History of Salad Dressings - The Association for Dressings & Sauces
History of Salads and Salad Dressings
腐敗予防の観点からマヨネーズを論じています。
患者さんの質問から、MCIスクリーニング検査プラスについて考えた
どのように認知症と呼ばれる状態を早期に察して進行を遅らせるか、という事はこの高齢化社会での重要な課題です。軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:以下MCI)という言葉を広めましょう、みたいな啓発もその一環です。MCIというのは、脳機能の低下が起きているが病的ではない状態と定義されます。(参考:太陽生命)
記憶、遂行、注意、言語、空間認知機能障害が起きるとされ、生活に支障を来すレベルでないと病的とは言いませんが、ふざけて「落ちてる落ちてる」と茶化すのは避けるのが無難です。事実かもしれません。
それは主観的な認知機能の低下(Subjective Cognitive Decline:以下 SCD)と言われる状態かもしれないのです。(参考文献)
さて、認知症で傷害される脳の機能についておさらいをしておきます。
記憶障害
- 近時記憶の喪失 - 最近の出来事を覚えられないことが多く、例えば食事をしたことを忘れてしまう。
- 物の置き忘れ - 大切な物をどこに置いたか覚えていないことがあり、日常生活での忘れ物が頻繁に起こる。
遂行機能障害
- 複雑な作業の困難 - 複雑な作業や計画を立てるのが難しくなり、例えばレシピに従って料理をすることが困難に。
- 日常的な家事の遂行困難 - 日常的な家事や金銭管理が徐々にできなくなる。
注意力障害
- 集中力の持続困難 - 長時間一つの活動に集中することができなくなり、例えばテレビ番組を最後まで見ることが困難。
- 情報処理の困難 - 複数の情報を同時に処理するのが苦手になり、例えば会話とテレビの音を同時に理解することが難しくなる。
言語障害
- 単語の思い出し困難 - 会話中によく使う単語が思い出せなくなり、「あれ」「それ」と言い換えが増える。
- 会話の流れの維持困難 - 会話の流れを保つことが難しくなり、話が途切れがちになる。
空間認知障害
- 方向感覚の喪失 - 知っているはずの場所でも道に迷いやすくなる。
- 物体の位置関係の理解困難 - 物と物との間の距離や位置関係が把握しづらくなり、物体を適切に配置することが困難に。
これらの機能がもともと高くない方も普通におられますから、あくまでも相対的な評価となります。年齢と共に徐々に落ちてくるので、それが「ここからは異常だ」と判断することを難しくしています。でもこれらの機能がある、という事を知っているだけでも、自分なりに指標を作ったり、どのように脳や身体を普段意識して使うかの作戦を練るのに役立つと考えて書きました。
認知症のリスク
Lancetの2020年の報告では、修正可能な認知症のリスクは以下の通りです。
教育が十分でないこと(日本では少ないが、中学校までの教育を修了していないこと)、高血圧、聴覚障害、喫煙、肥満、うつ病、運動不足、糖尿病、そして社会的接触が低いこと、ここまでは2017年時点での認識ですが2020年に以下の3つのリスク、過度のアルコール摂取、外傷性脳損傷、大気汚染が追加されました。
Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission
まず教育については45歳未満での再教育でリスクを減らすことができます。血圧は130未満を目指すこと。難聴は早期発見し補正すること。喫煙はどの時点でやめてもリスクが減ります。しかし肥満や糖尿病、うつ病、運動不足などに重要な「行動変容」は難しく、医療あるいは政府の介入の効果は限定されます。
自分が認知症になるリスクがあろうがなかろうが、可能な限り努力しておくのが一番安上がり、という考え方はあろうかと思います。それでも認知症にはなるので、なった場合に備えて周囲との関係性を構築しておくことも大事。でもそんなことができる人は多くはありません。余談ですが外部からの介入については本人よりは家族への介入が効果が高いと言われています。
変えられない認知症リスクとしてはAPOE遺伝子のε4遺伝子型が有名です。年間何百万円の認知症治療薬は、ここに介入しようとしたものです。
早期発見の重要性
脂肪肝と同じで、多くの人は自らの、そして周囲の人々の生活習慣がリスクになっており、認知症は気づきにくいまま進行してしまいます。それを早く気づくには何かきっかけがあると良い。そういう意味で、MCIを早く知ると謳う検査には社会的にな意義があります。
行動変容は起こせない、と書きましたが「あなたはSCDだ」「あなたはMCIだ」「そのリスクがある」と直接言われれば話は別で、多くの人に行動の変化を起こすことができることが期待できます。
VSRADという検査が、画像で脳の記憶を司る部分の萎縮が良くわかるので、それをチェックするのも一つの方法ではないかとか考えるんですが今のところコスパが悪い検査です。何かいい方法がないかしらと中途半端に探し続けて幾年月。
運転免許証の更新時に行われる認知症の検査は極めて有効であるように感じますが、もう少し早い段階でわからないだろうか。
こういう検査もありますが、お試しくださいますか。
MCIスクリーニング検査プラス
最近「癌がわかる」とか「この病気がわかる」とか言っている系の検査って、検査しているほうもわかってないんだろうなと思いますが、そのうちの一つです。
メタボローム解析なんて、結果と疾患を計算して相性を見ているだけですから、どれがどういう意味かわからないまま「あなたはこの病気になりやすいかも」みたいなことを言うわけです。良いんですよ、当たっていれば別に文句は言いません。
アミノインデックスとかメタロバランスも同じです。多要素からリスクをはじき出す系の検査はすべてそう。
ただ、こういう検査で引っかかった、と来院する方はメタボリック症候群や喫煙をしているなど、ある種のリスクを持っている人々に偏っているのが事実です。メタボリック症候群というだけで癌や他疾患の確率は倍ぐらいになりますから、確率的にそうなりそうではある。
「あなたはメタボリック症候群ですよ」と言われても心に響かず病院には来ませんが、癌のリスクが倍になります、と言えば来院することになるわけで、受診勧奨の一つとして悪手ではない。来院したらメタボリック症候群改善の指導をすれば結局がんなど疾患リスクは下がるはず。指導をしない病院が多いんでしょうが。
上記の検査同様にMCIスクリーニング検査プラスの場合も、説明サイトには文献の提示は見つかりませんでした。しょうがないから自分で検索をします。MCIスクリーニング検査プラスの場合「MCI、バイオマーカー」などで検索をします。すると以下の文献がそれっぽいです。
血漿を用いたMCIスクリーニング検査と血漿Aβ40,Aβ42レベルのアルツハイマー病と軽度認知障害(MCI)の血液検査としての臨床有効性
この文献が筑波大学発なので今度は「MCIスクリーニング検査プラス、筑波大学」で調べるとそれで正解らしい。したがってこの検査は以下のような内容だと考えられます。
アルツハイマー病(認知症のひとつ)の強力なリスクとしてApoE変異は良く知られています。その他のリスクとしては「加齢(当たり前、と笑わないこと)」「家族歴」「喫煙、肥満、運動不足」「脳損傷」「心血管疾患」などがありますね。タンパク質のゴミが、より多く溜まっていくようなシチュエーションを想像すれば良いだろうと思います。
脳へのアミロイドβの蓄積を証明する検査としては、例のレマネカブ投与前に行われるアミロイドPETという核医学検査と、髄液検査がありますがこれでは値段が高すぎますし、採血でのマーカーは非常に濃度が薄くて当てにならないという報告が多いのです。
筑波大学の先生は、アポリポタンパク質A1、トランスサイレチン(プレアルブミン)、補体タンパク質C3をマーカーとしたところアミロイドβとの相関があったことから、これがMCIのスクリーニングになるのではと発想したようですね。
アミロイドカスケード仮説というものではこれらの物質がアミロイドβの蓄積を抑制するんじゃないかということで、それらを血中で測定。一つ一つの物質は非常に挙動が複雑で病態をこれ一つで把握しにくいのですが、これをまとめて解析することは悪い発想ではない。
ApoA1はHDLコレステロールの構成因子で、低HDLはメタボと関連、つまり認知症と関連しそうですが逆にアルコール依存(これも認知症のリスク)では高くなるから単独では使えない。
トランスサイレチンは髄液に豊富で栄養状態の指標だからこれも低くなれば認知症リスクでしょうけれど、食い過ぎでは上がるし短期の感染症では下がるから単独では使えない。、
補体C3は炎症のマーカーとしての意味が大きいので単独では使えないが組み合わせるとトランスサイレチンのノイズが除外できるのかもしれない。
まあ、これが使えるかどうかは別にして、測定してみた方は相談してください。解釈は個人個人で異なります。
実際SCDやMCIと言われたら
強度の高い有酸素運動が一番良いのではないかと思いますけれど、なかなか行動変容は難しいし怪我が多くなる年代です。アプリが結局は「儲かりそう」ということで一番研究されているかもしれません
aibo、脳にいいアプリ、オンライン麻雀…認知症予防テック7選
ただ、脳のトレーニングがどれだけ効果があるのかは未知数ですが、中学校までの勉強(国語算数理科社会外国語のみならず芸術保健体育に至るまで)、それに似た知的あるいは肉体的喜びを得ることはいいことのような気はします。自分自身患者さんに良く言っていますが「医者になるのに中学校以上のレベルの勉強は要らない」は本心です。
おさらいですが、以下が修正可能な認知症リスクです。
教育の不足 高血圧 聴覚障害 喫煙 肥満 うつ病 運動不足 糖尿病 社会的接触が低い 過度のアルコール摂取 外傷性脳損傷 大気汚染
余談になりますが、自分が手術を受け退院してきたその日、早速運動をしようとして外に出たところ空気が汚いのが気になってしまい、すぐに帰ってきてしまいました。術後の呼吸器合併症はどうしても避けたかったからです。
行動変容が難しい、というのはこういう部分で、手術でもしないと普段どれだけ汚染された空気の中で生活しているかは実感が難しいのです。