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医療ニュース / 汗疹と汗疱 / 欲の話 / 大腸がん検診 / コレステロールと中性脂肪 / AI退院サマリー / なぜ早く外来にかかろうとするのか / 背表紙

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目次

最近気になった見出しから

  • サイバー攻撃でキャッシュフローに障害:米国でChange Healthcareという保険組合が2024/02/21以来ずっとオフラインとなり病院にお金が支払われていません。このため医療機関のキャッシュフローに問題が起きて緊急融資を行う事態になっています。
  • 2024/3/14、FDAは最初のMASH薬、レスメチロム(Rezdiffra)を承認しました。甲状腺ホルモン受容体β作動薬で、かなり効く様子。MASH薬ウォッチしてたんですが、こねくり回した新薬ではなく意外な伏兵が来た印象です。
  • 2024/03/20、FDAはデュアルエンドセリン拮抗薬アプロシテンタン(Tryvio)を三剤併用で降圧が出来ない高血圧に承認しました。12.5mgを食前食後関係なく1日1回。あまり相互作用もないお薬だそうです。妊娠女性には禁忌です。
  • Zerlasiran という**低分子干渉RNA (Small Interfering RNA) の薬**がPhase2でLP(a)を90%低下とのニュース。これは価格が高そうですが、今まで手出し出来なかった特定の脂質代謝異常の治療が可能になりそうという明るいニュース。

とりあえず脂質関係の話題が並んだのですが、「創薬」というのは大変ハードルの高い分野です。

例えば「メラトニン」という寝るときに放出されるホルモンがあって、これは米国ではサプリメントとしても売られているのですが、いざ薬として発売となると非常に詳細に研究されることになります。

医療用医薬品 : メラトベル (メラトベル顆粒小児用0.2%)

商品名「メラトベル」というこの薬、添付文書を読んで驚いたことがあります。本剤は主としてCYP1A2により代謝される。その他、CYP1A1、CYP1B1及びCYP2C19が代謝に関与している。とあるのですが、カフェインはCYP1A2の基質であり、本剤の代謝が抑制されるとあるんです。

実は私はカフェインを飲んでもグーグー眠れてしまうタイプの人間なのですが、それが何故かがこの文章を読んでピンと来たわけです。すなわち、自分の場合はカフェインを飲むとメラトニンレベルが上昇するんじゃないかと。それは余談ですが、それまでサプリメントとしてメラトニンが発売されていた時代はきちんとこういう事が文章化されていなかったわけで、いや勉強になるなあと思いました。メラトニンですらそうなのですから新規の物質がいかに大変か。お薬がOTCになるのは良いです、でもサプリメントの独り歩きは、ですね。例えば消化器の重鎮である父に、ですよ?この下剤が良いから患者みんなに勧めなさい、サプリメント(食品扱い)だから安心だと迫ってくる患者さんもいたりする(誰か忘れましたが実話)わけです。聞いていて呆れたんですが、そのサプリメントには問題があって、後に注意喚起もされました。

さて、入念な準備をし、100%の成功を目指して開発する創薬の成功確率についての包括的なレポートとして、医薬産業政策研究所の元主任研究員である八木らによる報告、DiMasiらの報告、Paulらの報告などがあります。これら研究では、Phase ⅠからPhase Ⅱ、Phase ⅡからPhase Ⅲ、Phase Ⅲから承認申請(Filed)及びFiledから薬事承認(Approved)における成功確率(次相移行確率)を求め、それらの積を以ってPhase ⅠからApprovedに至る創薬の成功確率を算出しています。それによればPhase ⅠがApprovedに至る確率はわずか10%です。

もっと細かく見たレポートもあります。(→リンク

ジェネリック医薬品では成分の溶出試験のみでApprovedになるのは問題だ、という意見があります。腸溶錠などもあるので尤もな話で、少なくとも血中濃度ぐらいは見よぐらいのハードルはあっても良いのではないかと思うのですけれど。

これらの話は製品管理や業界構造や歴史の話も含まれ、非常に難しくなりますので、診察室では出来ませんね。

急に暖かくなると汗疹や汗疱の話題が外来で増加する

冬は乾燥で痒くなるわけですが、急に気温が上がると汗疹や汗疱の話題になりますね。人工知能にそんな季節のエッセイを書いてもらうとちょっとしたホラーになったのですが、面白いのでこのまま載せます。

僕は夜になるとソファに寝転がってノートPCのキーを叩いて仕事をするのが日課だ。ところが桜の花が開花した、などというニュースを聞く数日前のある日のことだった。

気づくと背中がなんとなく痒い。左手で背中の皮膚を触れてみるとほんの少しの凹凸。なんだろう?と、ちょっと掻きはじめたら痒くてしょうがなくなった。

「うーん、乾燥肌?」考えながらもポリポリ掻いてしまう。

脱衣所にある保湿剤はダメ元で塗ってみた。しかし、しっとりするばかりで全く効果はない。かゆみ止め、なるものも塗ってみたがむしろカッカとしてなお痒い。それでも僕は面倒くさがりだから、ステロイドを買いに行こう、医者に行こう、なんていう気はおきないのだ。

翌日も同じ症状が続く。背中がムズムズする。でも放置した。皮膚の手入れなんてできっこない。

時間は過ぎ、やがて72時間が経ったか。パジャマの上を脱ぐ時ふと腹をみるとお腹の皮膚がおかしい。鏡で全身を映すと赤い発疹が体中に散らばっているではないか!痒みはますます悪化していった。

「うわっ、これはやばいかも」僕は戦慄した。

アレルギー?いや、食材は普段通りだし、外食はしていないぞ。花粉?まさか。黄砂?いやいや聞いたことがない。温度変化?確かに暑くはなったけれど。感染症?うーん、虫刺されはないよなあ。謎の病気?こわい。頭を抱えながら、原因を考えるけれど思いつかない。

1週間が過ぎ、発疹はひどくなるばかり。鏡に映る自分の姿が怖くなり、鏡を見る気にもなれなくなった。暗澹たる気分で時間ばかりが過ぎる。その時のことだった。

「…ひょっとして…」

遅ればせながら、ある可能性に気づいた。これは毎年春になると出る「汗疹」なのかもしれない。そういえば真冬並みの温度、が急に夏日になったではないか!

気付いたは良いものの、僕は面倒くさがりだ。適切なケアをしたりしないから年々症状が悪化していくのだ。このままでは、

「や、やばい、助けて…助けて……」

ふと目が覚めると、僕はソファの上でくたびれた姿勢のままだった。PCは膝の上にある。

真夜中、しんと物音もしない部屋の中で、僕は小さくゾワゾワと震えていた。

欲の話

電通、人間の消費行動に強く影響する「11の欲望」最新版を発表 | AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議

自分は観察する事が商売であり、相手の心をいつも読みながら会話をします。そして欲望がみえるほうがわかりやすい、というかコミュニケーションしやすくは感じます。欲望は時代の影響を受けやすく、たいていは類型化されているので、わざわざ高いスキルを研ぎ澄ます必要もないわけです。

去年バズった話題、あるいは炎上した内容を分析して欲望の傾向を見たり、記憶力はあるほうなのでRedditやB!の見出しをざっと見た印象から世相を見ていますが、流行色と同じく、電通が「今年の欲望はこれ」と発表してくれる事は自分的にはありがたい。

毎年テレビや広告などは電通主導で作られるでしょうから、2024年の「欲の特徴」を抽出しておこうかなと思いました。マズローぐらいは知っていないと、面白くもないわけですが、知っている人にはそれなりに面白いリストにはなっています。どう人を刺激しお金を儲けるか、広告戦略製品戦略を立てる時に使えるかもしれません。一方政府のお金の使い方は違う事を理解しておきましょう。マズローの欲ピラミッドの底の部分を動かすのが行政です。

さて今回は電通が作った「儲けるリスト」を、chatGPT4とClaude3という2つの人工知能にも作ってもらいました。それらを比較して見ます。比較してみることで見える事があるかもしれません。ではどうぞ。

広告会社とAIが考えた「儲けるために刺激すべき人間の欲

電通の考える欲求chatGPT4案Claude3案
承認欲求・優越感ステータスと承認承認・地位欲求
何もしない自由さ娯楽とレジャー体験欲求
普通の健康健康とウェルネス生理的欲求
つながる欲求社会的所属:交際-
趣味の欲求自己実現・創造性自己実現欲求
お金使いたい欲求-贅沢欲求
社会貢献欲求社会貢献/倫理的消費-
保身の欲求安全と保障安全欲求
悪い事したい欲求--
愛への欲求-愛情欲求
収集癖美と芸術の享受審美的欲求
-生活基盤の確立、情報と知識投資欲求、便利欲求

さてこれを見て何を思いますか?「悪い事したい欲求」が電通提供のリストにしかありません。chatGPTとかClaudeはある程度倫理的なのかリストに入れていない。その点電通はストレートだ、と言えます。chatGPTとClaudeには少しずれもあるのですが、2つ合わせるときちんと、「悪い事したい」以外の電通提供の欲求はすべて提示されるのは流石です。

この中で、2024年ならでは、ということを考えたいわけですが、ポストコロナ、戦争、インフレ、分断、保守化などのキーワードを加味してもどうも「これだ」というリストにはなりません。とはいえまあまあ普遍的な人の欲望が登場するように思いますし、患者さんの心を読むときに私が自然に認識している事、そして「ああ、この人はこの欲がないのが困る」などと考えている内容が再確認できて良かったです。

電通のこういう話題の作り方や、欲望の理解の仕方は自分の師匠、坂井直樹さんが以前作ったエモーショナルプログラムマップあたりに原型があります。(IDEOのようなデザインコンサルは独自のフレームワークを持っている)坂井さんのこれは汎用性があってロングセラーになった(実際儲かったらしいです)ようですが、電通の場合「時間軸を欲望に組み込む事で毎年違うマップを売り込みたい」という欲望の入れ子構造が見て取れます。

Untitled

さらに遡ると感情の原型についてもマップが発表されています。九鬼周造の「情緒の系図」を参照して下さい。

リストにはありませんが、人を蹴落としても自分は得したい欲求(スパイト行動という)というものもあります。それは何欲と名付けるべきなのか。「自分が損してでも周りをもっと損させたい」という消費行動(アンチなんとかみたいなもの)はあまりにもニッチということで電通のリストにも入っていないのでしょう。

前置きはこのぐらいにして、自分がこのリストから読み取った、外来でよく感じる・利用する人の欲は以下の通りです。

  1. 最高の健康ではなく、平均が良い。 そうそう、と思います。しかし「私は最高の健康云々」という主張をする人も同じ括りにいれてます。なぜなら健康を人と比較しているという点では同じだからです。健康に関して絶対的な指標を持つことはなかなか難しいので、それに合わせた説明の仕方をする必要はあります。
  2. 何かする、じゃなくて何もしない お金をかけて何もしない欲求というのはある気はします。「薬は飲みたくない」「運動は苦手」みたいな。この欲を利用して儲けているのが医療機関とも言えますが、そこに安住しないようにしたいです。
  3. 捕まらない範囲、自分に被害が及ばない範囲で悪いことをしたい 羽目を外すも同じ括りだと思うのですが、ここをインタビューでうまく聞き出すと病名がわかることが多いです。正直に教えて下さい。
  4. 個性は刺激されたい(特別でいたい) 健康は普通で良いのに名医にかかりたい、みたいな矛盾した欲があるわけです。どう自分が特別か、が表現されるのが良いのでしょう。 治療には「自分らしさ・その患者さんらしさ」は当然表現されるわけで、大切にしてる部分ですが、それが見えないと満足せず、ちゃんと「他の人の治療とどう違って特別なのか」を目に見える形にしたほうが良いようです。

通常は読み飛ばされる程度のプレス発表だと思うのですが、自分なりに考えたらこう広がりました。2025年にアップデートが必要になるかどうかはわかりませんが、少なくとも数年単位で患者へのコミュニケーション手法は変化してきますので、今後も世相には敏感でありたいです。

大腸癌検診は「受診率を上げる」という問題が一番大きい

タイトルには注意が必要

New England Journal of Medicine という最も権威ある医学誌があり、そこに北欧からの大規模な大腸癌検診前向きコホートの研究が2022年10月27日に掲載されました。NordICCという試験です。

Effect of Colonoscopy Screening on Risks of Colorectal Cancer and Related Death | NEJM

大腸内視鏡と大腸癌について今までわかってきた事実はこういうものでした。

  • 理由はどうあれ、一度でも大腸内視鏡を受けているとその後10年の大腸癌死亡率が大幅に下がる。大腸内視鏡を受けたグループと受けていないグループは均一ではないので、内視鏡の効果がブーストされている可能性があり「7割減少」というような数字をそのまま当てはめる事は大腸内視鏡を過大評価することになるが重要な観察による事実。
  • S状結腸までの内視鏡スクリーニング検査でも死亡率は下がる。

それを踏まえて今回は北欧で大腸癌検診として内視鏡に割り振る/割り振らないグループを作って前向き研究をしました。「あなたの次回の大腸内視鏡検査は無料です」という1枚のチケットを送るだけで、送ったグループの10年後の大腸癌リスクが18%減少、大腸癌死亡が10%減ったというのが「すごい!!」という事だったわけです。

チケットを送って42%の人が内視鏡を受けたそう(予測は50%でした)。55−64歳の人々が発症する大腸癌のリスクから考えて、18%減少はもう少し高い数値にならないかな?とも思いますが、それらをすぐに検証するのが米国の先生たちです。彼らの持っているデータからシミュレーションを行いました。米国に今回の方法を当てはめたとした場合、24%~32%および11%~28%減少するはず、と報告したのは消化器学会(AGA)で、発表されたのは2023年10月のことでした。また100%検診受診率ならば53%〜70%および26%〜61%の減少となるそうで、北欧でのシミュレーション51%、31%を少し上回りましたけれどまずまず一致しています。これを踏まえてNordICCは概ね「良い研究」と結論づけています。

AGA以外の反響を見てみると、米国側からは、検診の受診率が低かった58%の人々への影響が考慮されていない点が批判されています。今回のテストでは42%という数値を、過去最高と言われる59%を超える努力をすべきだった。もう一つ、内視鏡検査の腺腫検出率が低かった点が批判されています。腺腫検出率が25%を切る内視鏡医が30%いた事が問題だと。(米国と欧州では内視鏡医は自分の検査記録を提出するので、腕がまるわかりです。一方日本は違い、恥ずかしい部分です)

この腺腫検出率ですが、北欧と米国では内視鏡検査時の鎮静薬使用率が大きく異なることも理由の一つかもしれないという指摘もあります。いずれにせよ、大腸内視鏡が前向き研究においてもシミュレーションに近い結果を得たのはポジティブと考えて良いでしょう。

この報告を紹介した日本のサイトを紹介します。

大腸癌、および、その関連死のリスクに対する大腸内視鏡検査によるスクリーニングの効果|論文紹介|消化器癌治療の広場 GI cancer-net

谷口先生や上村先生などの識者が解説してくれている記事を見ると、論文の意味や日本での展望がよくわかります。一方で医学ライターの書いた記事ではほとんど何の情報も得られないことに注意が必要でした。

報道の問題

当初、この論文に関して「内視鏡をすると大腸癌が10年で14%低下」という論旨でメディアが報道したそうです。これはもちろん理解が間違っていますが、ジャーナリストは論文内のメッセージを見逃してしまうのだからしょうがないとするべきなのか、論文にはプレス発表用にわかりやすい見出しと要約を載せるべきかという議論があります。

その他の問題

小さな腺腫を取った効果は10年では短く、もっと長期間の後現れるので、それを評価すべきだ、という議論があります。15年後にもNordICCの報告はあるそうで、それに期待します。

一方でほとんど回避できない大腸癌死が一定数(全大腸癌の10%ぐらいは、いろいろな検査をすり抜けて進行してしまう事がわかっています)あります。一部の評論家が医療者を批判していますが、この指摘は的外れであるにせよ、すり抜けてしまう癌の性質を明らかにしてそれを見つける努力をせねばなりません。リキッドバイオプシーは有望ですがまだ値段が高すぎます。私はエコーを駆使しています。

腺腫検出率が北欧で低かった事は、米国がそもそも腺腫が多すぎるのだから批判されるには当たらない、という指摘はあります。逆に、民族的には腺腫が少ないはずなのにやけにたくさん見つけてしまう日本の内視鏡医の腺腫検出率はもしかすると異常なのかもしれませんね。

情報の偏りの問題

内視鏡検査好きの患者さんが繰り返し繰り返し検査をうけて、医師も患者も大満足しているという問題が日本にはあります。真面目に取り組んでいる米国では大腸がん死が減っている一方で、日本では恥ずかしいことに増え続けています。米国の人々は7割近くが便潜血検査など大腸がん検診を毎年受けますが、日本では5割以下なのです。

全員が満遍なく大腸内視鏡検査を受ける事が大切だ、と20年前に思ってそれ以来「どちらかというと内視鏡を受けたくない」人々に勧奨することをひたすら続けてきたのですが、半数以上の人々は頑なに受けてくれませんし、自分の疲弊も相当で、個人の力には限界を痛感しました。

そうは言っても米国レベルには出来るはずで、さらに30%受診率をアップさせられれば確実に大腸がんは減少に転ずるでしょう。後期高齢者ではなく、45歳~65歳の受診率を上げることがひたすら重要な事なので、努力していきたいと思います。

米国と日本との違いを上げると以下のようになるでしょう。

  • 啓発の予算: アメリカがん協会(American Cancer Society)や米国予防サービス任務部隊(US Preventive Services Task Force)などの組織は、定期的に大腸がん検診の重要性についての公衆衛生キャンペーンを展開していますが、この予算規模が異なる可能性があります。米国ではありとあらゆる場所に「FIT(便潜血)受けてる?大切だよ!」みたいな表示があったりします。
  • アクセスの改善と保険のカバレッジ:日本の人々は申し込み方法(めんどくさい・場所や時間が限られる)や価格(無料ではない)に対する不満があるかもしれません。不平等も存在します。これを改善させることは受診率を上げる可能性があります。
  • 医療提供者による勧奨:自分が挫けている部分ですが頑固な人に言ってもしょうがないので、軽く肘で押す程度の推奨「ナッジ」が一番心理的には良いと言われます。
  • 多様な方法:日本では便潜血検査のみですが、米国では内視鏡やリキッドバイオプシーなども保険により選べます。大きな違いです。日本でも大腸がんの家族歴があれば保険適応なのは知られていないとは思います。
  • 日本は高齢になってから検査を受けすぎる。若い頃にちゃんと受けられない環境の悪さがあります。

まとめ

大腸がん検診は大切です。40歳~65歳でなんらかの大腸がん検診を受けていない、という方は相談して下さい。

コレステロールと中性脂肪

日本では、保険適用される脂質検査項目が限られており、通常は「総コレステロールとHDLコレステロール、中性脂肪」の組み合わせか、「LDLコレステロールとHDLコレステロール、中性脂肪」の組み合わせとされています。「総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪すべて」を測定する場合、LDLコレステロールは保険適用外というおかしなルールなのです。どうせ保険診療は丸め(生化学を10項目以上測定したら、それ以上何項目でも請求額は同じ)なのに、です。

このおかしなルールは特定健診でも見られ「LDLコレステロールとHDLコレステロール、中性脂肪」の組み合わせで長年測定されていますが、日常診療では総コレステロールを栄養指標として、あるいは心臓血管リスク計算のために使いたい場合があります。ではフリードワルドの式を利用し逆算して良いのか、という議論になりますが、残念ながら逆算することに関しては確らしさがどのくらいであるという論文はないのです。LDLが低い場合と、中性脂肪が150を超えた場合は総コレステロールの逆算はぶれがちになる、と承知の上で計算することになります。

このような運用には問題があるため、この数年鵜川医院では全例で、特定健診に関しても「総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪すべて」を測定することにしています。一方脂質にはLp(a)、RLP-Cなど別の指標で有用なものはありますが、最近はそこまでこだわって検査をしていません。その理由ですが、Lp(a)は異常高値の人がそれほど当院では多くない、RLP-Cは中性脂肪との相関が高い事ははっきりしているが結果が安定しないなどの理由です。一度測定しておくことは有意義です。中性脂肪に関してはフィブラートで効果の見られる方はおられますが、限定的であって著効症例を選ぶためのバイオマーカーがもう少し欲しいと感じます。

いきなり難しいことを書いてしまいましたが、前置きはこれでやめます。健康診断でコレステロールを測定したらこういうことを見てください、考えてください、という文章を書きます。

単位と基準値を見よう

コレステロールも中性脂肪も、日本で使われる単位はmg/dL (ミリグラム/デシリットル)です。100mg/dLってどのくらいの量かなと考えると、ざっくり比重を1だとして0.1%ぐらいになりますね。ところが時々中性脂肪は1000mg/dLなんていう人がおられて血液の中の1%以上が脂肪という……。血液に油が浮いている、なんてことが実際に起きるんです。

基準値ですが、これが検診機関によって違ったりするのです。特にLDLコレステロールは140mg/dL未満を基準としていたり、120mg/dL未満を基準としていたりでまちまちです。さらに心臓のステント治療後は80mg/dL未満を目標とします。したがって、コレステロールに関しては基準値を見ないで自分の目標を設定するのが良いでしょう。

HDLコレステロールは40mg/dL以上が望ましいとされます。LDLはいろいろな臓器や筋肉で栄養として使われるのですが、粒子の体積が徐々に小さくなりHDLに変化していきます。これは連続的な変化です。HDLには血液中にフリーで存在する油の粒子をキャッチしてくれるお掃除屋さんの機能があって、これを自分は「油で満たされた状態のスポンジがLDLで、油を絞った状態のスポンジがHDL」と例え話をするのですが、この絞ったスポンジで血管を拭けばきれいになりますよね、と想像してもらっています。時々代謝異常のために、LDLは高いのにそのままぐるぐる血液をまわってしまい一向にHDLにならないという人々がいます。この人々の動脈硬化は早く進むので注意せねばなりません。HDLが低い場合は体質に注目します。

中性脂肪は10時間絶食して150mg/dL未満を基準とします。中性脂肪はよほど大きな粒子でなければ血管を詰まらせる事はないのですが、栄養であると同時に代謝にとってはちょいとお邪魔虫でありまして、高すぎると脂質代謝が悪くなります。したがってコレステロールの代謝異常がある人で問題になるケースがあります。

高い時

  • 原因があるかどうかを、考える:体重の変化、運動量の変化、睡眠時間の変化、環境の変化、使用薬剤・サプリメントの変化、酒量の変化、運動量の変化、病気をしたかどうかなどを思い出して記録しておく、過去の記録も大切です

  • 原因を一つに絞らない

  • 医師に相談してみる:上記記録を利用する

  • 自分のリスクを計算してみる:40-75歳の方向け

    8%以上なら投薬を考えます

    循環器疾患リスクチェック|国立がん研究センター

  • 3−6ヶ月ごとに再評価をする

低い時

  • 医師に相談するのが一番早いです:体重の変化など、高い時と同様の内容をインタビューされると思います
  • 異常だと判断されれば原因疾患の検索が行われます

検査結果を鵜川医院にLINEで送る場合

  • スキャンして送る

  • 写真に撮って送る(読めるものを送って下さい)

  • アプリを使うとデータ化出来る

    パシャっとカルテ|Arteryex

  • 結果について説明されたことや自分で考えたことを添えて下さい。解の程度が推測出来、自分からの説明に反映します。

問いこそが答えだ

啓発本はあまり読まないと以前書きましたが、人に説明するために必要ならば読みます。『問いこそが答えだ』という本を賢い友人が読んでいたので、真似して読んでみました。

この本の内容を一言でいうと、日本では難しいと言われがちな「批判的思考(クリティカル・シンキング」を平易に理解できるよう再構築した本でした。

問いこそが答えだ! 正しく問う力が仕事と人生の視界を開く

前半は風通しよく問いかけをしやすい環境を作る事がいかに難しく、いかに大切か、それをしないと大企業でもいかに簡単に潰れるか、という事が丹念に書かれています。マネジメントの世界では「心理的安全性」という言葉がキーワードになりますね。診察室もいかに質問しやすい雰囲気を作るか、が当然医療事故を少なくするために非常に重要です。

最近日本でも大学の授業で「トリガー・ウォーニングがなかった」という訴えがあり、ニュースになりました。関西の大学ですが、芸術の授業でセンシティブな絵が供覧されたので自分は傷ついた、と訴えた受講生がいたのです。日本では確か原告が勝訴していますが、米国では逆の結果になりました。同じ様に「どの授業がセンシティブな内容を扱うかトリガー・ウォーニングをせよ」と米国で大学に訴えた学生がいたのです。しかし「大学は自由の場であり、傷つくか傷つかないかでフィルタリングするのは大学としての教育の本質に逆行する」と大学側が退けました。

日本の訴えの中でセーフ・スペースという言葉が使われているのですが、それは個人の心が安全だという意味です。しかし大学は思考が自由でなんでも言える場所という意味でセーフ・スペースだ、というのが欧米の伝統です。同じ言葉でも正反対の意味になってしまいます。これはカズオ・イシグロも話題にしていました。これらのニュースが示すように、現実の社会では「思考が自由に行える場所」は極端に少ないのですが、逆にそれができた組織は大きな成功を得られます。日本の大学はそういう意味では成熟していないと言えます。

閑話休題、本書の中で好きなエピソードがあります。ベル研究所のハリー・ナイキストの話です。イノベーションを起こした人々の特徴を研究したところ、ハリー・ナイキストと昼食をともにした事がある、というのが共通点だった、という話。ナイキストはアイディアと問いに満ちた人で、彼と話す機会があると必ず思考が深まるというのです。自分が目指すのがまさにこういうタイプの医者で、色々話しているうちに患者が自ら問題を解決する、みたいなやつ。

また、自分が好きなポアンカレのアイディア創出のエピソードも出てきます。

中盤は思考法の話で、各論の羅列だからわかりにくいかもしれませんが、個々の話はそこそこヒントに溢れているから、やっていなかったこと、忘れていた事があれば、それを普段の思考法に組み入れればより網羅的に考えられるよね、という印象です。

これらはすべて批判的思考のマニュアルになっています。

「批判的思考」と書くとかたっくるしくなるものを「問いかけよう」とすれば教育や家庭にもすぐに簡単に応用できると言う事が本書の本質です。最後に世の中を変えるために「問い」のスケールを大きくしていこうと語りかけていますよ。壮大な啓発本、こういうものもあるんですね。

ただ、読んでから2年以上経った現在、この感想以外、自分の中には知識が一つも残っていません。元々持っていたスキルと同じだ、と考えて読み飛ばしている事もあるかもしれません。願わくばこのスキルが自分の血肉になっている事を願うばかりです。

インフルエンサーが我々をコントロールする技術

大衆はコントロールされるものです。それで良いのか?と自答しながら生きるか、あるいはそれを心地よいと考えて生きるか、あるいはまるで意識せずに生きるのか、あるいはコントロールされてないけど?と言い張るのか、あるいはコントロールする側だと思っているのか、人それぞれだと思いますが。

コントロールされ慣れてしまった我々は、テレビのような一方通行のメディアに匹敵するほどインターネットの情報によってもコントロールされます。その手法についていくらかは知っておいた方が良いでしょう。

あるいはインフルエンサーになりたい人も最低限知っておくべき知識です。

ギルト・トリップ

ギルト・トリップ(Guilt Trip)とは、相手に罪悪感を感じさせることで、その人の考えや行動を意図的にコントロールしようとする心理的操作技法です。もともとは家族や友人、職場などの人間関係で悪用される技術ですが、これがインスタグラムなどSNSでは利用されています。

ギルト・トリップの特徴は、操作する側が相手に対し、「これをしないあなたは悪い人だ」や「あなたがこれをしてくれないと私は傷つく」など相手に罪悪感や義務感を抱かせるような発言をすることです。このテクニックにより、相手は罪悪感に負けて、本来は意図していない行動をとります。

ギルト・トリップの問題点は、相手の考えを聞かず一方的なことで、それが健全なコミュニケーションや問題解決の方法ではないということです。家族間友人間ですと信頼の喪失、被操作者の自尊心の低下、心理的なストレスの増大などにつながるのですが、インスタグラムなどSNSは一方的なコミュニケーション(パラソーシャル関係)が主体なので、インフルエンサーの信頼喪失の影響は軽微である一方で被操作者の自尊心は低下し、心理的なストレスが増大してしまいます。本来あってはならない手法です。

この手法はアンチ・ワクチンでも見られます。

マルチ・レベル・マーケティング

マルチ・レベル・マーケティング(MLM)とは、商品やサービスの販売方法の一つで、販売員が直接消費者に製品を販売するだけでなく、新しい販売員を募集し、その販売員からも収益を得ることが特徴のビジネスモデルです。MLMは、ネットワークマーケティングとも呼ばれます。連鎖販売と呼ばれ、この連鎖が永久に続く場合は破綻する事が確実なので法律で規制されます。これが鼠講と呼ばれます。健康食品ではこの取引方法がよく使われます。

アフィリエイトへの誘導も一種のMLMです。

MLMは広告の規制逃れをしやすい特徴を持ちます。誇大広告はもちろん禁止されていますがモニタリングがしにくく、薬事法などの法律を逃れ、嘘をつきやすいメリットがあるとされます。これもアンチ・ワクチンや、健康食品で使われる技術です。

感覚マーケティング

感覚マーケティングの目的は、単に情報を伝えるだけでなく、消費者の感情や記憶に訴えかけることで、製品やブランドに対する深い印象を残し、結果として購買意欲を促進したり相手の心をコントロールすることにあります。インフルエンサーは短い動画で消費者にクリックなどの行動を促します。これが広告手法として非常に効果的なのはTikTokの成功を見ても明らかで、こういうメッセージの中に広告ではなくて相手に信じさせたいことを入れると心理コントロールが可能です。特にInstagramやTikTokは、Xのようなニュース元としてよりも「楽しむ場所」として認識されているので、容易に相手を騙す事が可能です。

エンゲージメント・マーケティング

パラソーシャル関係とは、メディアの人物やキャラクターと視聴者との間に形成される一方的な親密さや友情の感覚を指します。これに対し、SNSマーケティングにおいてコメントを使い、より双方向性があり親密な関係を構築する技術や戦略のことを、特定の用語で広く認識されているわけではありませんが、「エンゲージメント・マーケティング」や「関係性マーケティング」(Relationship Marketing)と呼ぶことがあります。

エンゲージメント・マーケティングでは、顧客やフォロワーとの間に持続的な対話を促し、関与を深めることを目指します。これは、コメント、リアクション、共有などの形でユーザーの参加を奨励し、その結果、ブランドや製品に対する忠誠心や信頼関係を築くことができます。代理人、あるいはLLMを使えば、インフルエンサーあるいは芸能人個人を装いDMでコミュニケーションも可能です。それにより強い関係を築く事も可能です。

関係性マーケティングは、顧客との長期的な関係を構築し、維持することに重点を置いています。これは、顧客のニーズや期待に応えることによって、顧客満足度を高め、リピート購入や口コミを通じた新規顧客の獲得につなげる戦略です。SNS上でのコミュニケーションは、このような関係性を深めるための強力なツールとなり得ます。

どの戦略も、SNSを通じて顧客やフォロワーとの関係性を築く上で重要ですが、特にSNSマーケティングにおいては、親密さや個人的なつながりを感じさせることで、より深いエンゲージメントを促進することができます。

お金を使った手法

非常に不快な内容の、誰しもが「嘘だろう」と思うような内容であっても、お金をある程度かけるとSNSでは拡散させる事が可能です。

1000人に電話をすれば1人は騙される、というのが電話勧誘の仕組みらしいのですがそれと同じ事がソーシャルメディアでも起きます。このため、非常に極端な意見が見られるようになっています。

戦争も選挙で選ばれた人々が起こしてしまう事が多い現代、このような手法が高度化する事によってお金を持った人が勝ち、のような状況です。

まとめ

これに加えて、行政が大衆をコントロールする技術、が加わります。

結論として大衆がコントロールされないための手段を見つける事は残念ながらきわめて難しいと言えます。

しかし個人レベルで自由を守ることは可能ですし、自分が理想とする未来のために、防御のため、あるいは他者に影響を与えるスキルとして、上記のような手法を知っておく事はメリットがあるでしょう。

エビオスが金属を回収できる話

私の祖父、伯父はキリンビール勤務でしたので、アサヒビールの製品エビオスについて論じる事は憚られるのですが、正直羨ましい。なぜエビオスをキリンが発売しなかったのか、と思います。キリンは使用済み酵母のカスをどう捨てているんでしょうね。(たぶん飼料などにしているのだと思います。バイオエタノールの開発など色々試してはいるようですよ)

知らない方向けに説明するとエビオスはビールを作った時に残った絞りカスです。

廃棄物を蘇らせて製品にする、というのが健康食品の理想形です。なんとか酵素、みたいなのもそうですよね。廃棄野菜を発酵させると製品になる。素晴らしいアイディアです。捨てちゃう蟹の甲羅、鮭の皮、帆立の貝殻、全部健康食品になります。

ところで英国やニュージーランドにマーマイト。オーストラリアにベジマイトという食品がありますね。見た目がエビオスだなーと思っていたら、どうも同じものらしい。(マーマイトが元祖と言え、ベジマイトは1923年、エビオスは1926年に誕生)彼らはパンにつけて食べるのかな。美味しくないが癖になる、みたいな事が言われます。

The same beer waste that gives us Vegemite could help us recycle metal

さてベジマイトが金属を回収できる、という記事。ただ場所はオーストラリアではなく、オーストリアです。

オーストリア・ウィーン大学の研究チームが発表した論文によると、醸造所から出る使用済みビール酵母を使ってアルミニウム、亜鉛、銅などの金属をリサイクルできる可能性があるそうです。

電子機器の廃棄物は様々な金属が含まれているため、効率的にリサイクルするのが難しいと言われています。しかしこの研究では、使用済みビール酵母の表面に金属イオンが静電気的に吸着する性質を利用することで、溶液から選択的に金属を取り出すことに成功したのです。

実験では、単一の金属溶液から最大70%以上の亜鉛、50%以上のアルミニウム、40%以上の銅を回収できました。さらに複数の金属が混ざった廃液でも、銅の50%以上、亜鉛の90%以上を取り出すことができたそうです。

従来の化学的な金属回収方法と比べ、酵母を使う生物吸着法はコストが安く環境に優しいと言えます。さらに驚くべきは、使用した酵母を再利用できるのです。実験では5回まで繰り返し使えたということです。エコロジー。

AIは退院サマリーを読みやすくできるのか

chatGPT4と同等のLLMとしては、GoogleのGeminiやAnthropicのClaudeがあります。特にClaudeの性能は絶賛されています。

ほとんどの医師は国語能力が高く論理的な文章を書きますすから、退院時の病歴要約(サマリー)も全く読むのに苦労しないのですが、それは我々医師の間だけでの話であって一般の方が読んだとしてもさっぱりわからないでしょう。

それをLLMを使って読みやすく書き直すことは可能か?という論文です。

Could AI be used to make discharge summaries easier for patients to un

研究チームは50件の退院サマリーについて、AIを使って平易な言葉に書き換えを行いました。その結果、AIは文章を患者にとって分かりやすいものに改善できましたが、一部で重要な詳細が欠落したり、不正確な情報が含まれるなどの問題も見られました。

研究者らは、AIを使えば退院サマリーの読みやすさは向上する可能性があると述べています。ただし、現時点ではAIによる書き換え文章を、専門家が確認する必要があるとしています。読みやすさを向上させましたけれど、ちゃんとできたかどうか確認して下さい、とさらに医師に求める事は本末転倒(医療者間でやり取りするものだし正確性を期すために専門用語を使っている)なわけで、この精度を高めるための研究が必要になりそうです。どれだけわかりやすくしてもほとんどの人々の言語能力はものごとを100%理解は出来ないから、妥協点を探る、という事が大切になってきます。

一方家庭医は退院サマリーのレビュワーとして適当な人材かもしれません。実際日々の仕事でそういう事を繰り返しているわけですから。早晩退院サマリーが共有される時がやってきますから、そこから新たな時代がはじまりそうな気はします。

なぜ人は早く外来にかかろうとするのか

A new study finds that the later we meet someone in a sequence, the more negatively we describe them

この新しい研究は、就職面接、オーディション、デートアプリなど、順番に評価される状況において、後から評価される人ほど無意識的に不利になる可能性があることを示したものです。

研究者たちは、この現象を「連続位置否定性効果」(聞いた瞬間忘れる用語笑)と名付けました。人に順番に出会うと、前の人と区別するための特徴に注目するようになり、その特徴は一般的に否定的なものになりがちです。そのため、後から出会う人ほど否定的に描写される傾向があるのが肝です。

実験では、FacebookプロフィールやTVショーの映像を使い、参加者に人物を順番に描写させました。初めのうちは肯定的な言葉で描写されていましたが、順番が進むにつれて否定的な言葉が増え、具体的で独特な特徴を挙げるようになりました。

この偏りは無意識的なものですが、採用の機会や人気オーディションなど、重要な場で後から評価される人に不利に働く可能性があります。

逆に面接者は連続位置による評価の違いを意識し、公平な判断を心がける必要がある、としています。

最初タイトルだけ書いてしまったんです。なんで朝一番で外来にかかりたい人がいるのか、みたいな事を書こうと思った。全然違ったんですけど面白いからタイトルだけそのままにしました。

自分が外来を行っているときは最初ほど早く終わらせたいし印象に残りません。むしろ後ろに並んでいる患者さんほど「待ってくれてありがとう」と輝いて見えちゃう。かといって外来の時間を過ぎてしまうと自分も仕事は終わらせたい。どちらにせよ時間制限がある中で、患者さんの時間を有効に活用しないといけないとか、公平に見えるようにしなくちゃいけないなと一日中考えており、順番どころじゃないです。

論文を読んだら全然違う内容で、なるほど人の差をつけるような審査の仕事ってそうなんだーと他人事のように思ったのでした。

背表紙

図書館に行くと「背表紙大切」と思いませんか。

自分の持っている本があるかどうかを探すのも一つの楽しみだし、それがどの書架にあるのか、その隣にはどういう本があるのか、関連書籍は、みたいな観察。

読んでいるはずの分野にも案外読んでない本が多く、知識を補充する気になるかと思いきや逆に借りずに撤退してくる心理。

スピリチュアル本だと思っている本が、スポーツの書棚にあって意外に感じたり。

スポーツの隣が料理だったりする唐突さ。関連は在るといえばあり、ないといえばなく、しかし双方かなりのスペースを占めている事に驚く。

料理本はフルカラー前提であるがゆえか装丁にお金がかかっていない(工夫は少なくとも見えない)ものが多くみなほぼ同じに見える。差別化できないから本屋では平積みに頼るのか。図書館では一冊一冊が全く目立たなくなる。あるいは料理本は固定客商売なのかも。

書棚で目についたのがたった一冊。辰巳芳子さんの本。

・本が分厚い ・著者名が題名に入っている ・クリーム色地なので写真の端っこが多い料理本の背表紙の中ではとても目立つ

なんとなく手に取ってみるけれど、辰巳本は「火が通るまで」など表現が難解なので上級者向き。

子供のころから自分は母が結婚時持参したという主婦の友社「料理百科」という800頁以上のレシピ集をめくっていつも料理を作っており、一人暮らしを始めるときにもらってアパートに持ち込みました。自分の部屋にはそれ以外の料理本はなかったと思う。バイブル、それで全部済むから。

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自分の本は紙カバーはもちろんどこかに行っちゃって、桃色無地でしたが。

さて「健康」の書架には反知性主義的な本もかなりあり、落胆し、呆れる。なるほど図書館に購入希望を出して知識を汚染するというテクニックがあると聞くがこれか、と眺めたり。

図書館には、おそらく意図的にデータベースには入れてない本がある。もちろん、館内データベースにはあるのだが、カーリルなどの大規模なデータベースには無いのだ。例えば、河合隼雄全集の後半はカーリルに無し、書架にも無いが、館内で検索すると見つかり司書さんが取ってきてくれました。嬉。

どうしても読みたい本があるとき、データベースでは見つからなくても、実際に図書館に行って探してみると、見つかるかもしれませんよ。探検の楽しみ。