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イッヌ / LLMで英語学習革命 / ミニトマトをつまみがち / 塩分摂取量の意識 / 認知症に向いた否定的な意識 / 経口補水液が使われないがち / おかめそば

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目次

イッヌ、ぬこ、とりさん

友人がある日、Canine(英語で犬のこと、医学部ではよく使うかしこまった言葉です。彼らを実験動物として扱う事があり、なんとなしに一歩引いてしまい、このような呼び方をして心理的な安全性を保ちたいのだと思います)のことを「イッヌ」と読んでいました。これは「ドッグ」の日本語訛りらしいです。面白いですね。日本人の言葉遊びはとても自由度が高い。オノマトペもたくさんあり、日本語大好きです。このエントリーのタイトルも言葉遊びで、「1−2−3」的なイメージです。

Canineは「ケーナイン」と発音するので、英語圏ではK9、K-9と書かれることもあり、特に警察犬をこう呼びますよ。豆知識です。

イヌは学名をCanis lupus familiarisと言います。属名がCanisでこれはラテン語で犬*、種小名 lupus はラテン語で狼。SLEという病名がありますが狼瘡と日本語では言います。亜種名familiaris*はラテン語ですがファミリーだ!とすぐにわかりますよね。イヌが古くから家畜化されていた事がわかる学名だと思います。

ネコ、ここでは家猫のことですが、学名をFelis catusと言います。ヨーロッパヤマネコ(F. silvestris)起源なのでは、とのことでFelis silvestris catusと呼ばれていた時期が2007年~2017年にありましたが、しかし現在ではイエネコは独立した種とされFelis catusと命名されました。しかし日本語のWikipedia「ネコ」は命名法について非常に信念の強い人が編集している痕跡があり、絶対にsilvestris入れるぞ的な雰囲気です。なんか小煩いですね。学者ってそういう人がいます。近寄らないようにしたい。という事で日本語のWikipediaで述べられているネコの学名は国際的に認められているものではない、という事を書きました。

こだわりの強い人がWikipediaを記載します。イヌが260の言語でWikipediaの解説があるのに対して、ネコは262の言語で解説があります。(2024年2月現在)強いFanが多いのはネコである、の証左であろうと思います。ネコを「ぬこ」と呼ぶスラングは、2003年8月に漫画「ねこきっさ」において主人公が「ね」と「ぬ」を書き間違えるエピソードが2chで紹介され、使われだしたという説を読みました。

ちなみに胃炎に関して自分がWikipediaを「間違ってる、ここがおかしい」と書き直すと、すぐに元の文章に戻されます。こちらも近寄ってはいけない学者が見張っているようです。

さて鳥が好きな友人がいます。彼が鳥を愛でる様子も興味深いものです。「野鳥の会」なるものがありますが、愛玩動物としての鳥と、野生のままの鳥とを区別して考える、そこに哲学が存在するのが他の種とは違います。前回鳴き合わせを紹介しましたが、それは虐待に相当すると考えられる一方で、まだ行われている国もあります。例えば闘牛の国スペインでは、鳴き合わせはSilvestrismoと言います。ヨーロッパヤマネコのところにsilvestrisという文字が出てきたなあと気づいたあなたは鋭くて、silvestrisとは「野生」の意味なんですね。イエネコの学名はF. silvestris catusだと主張している日本語版Wikipediaを編集している人が何を思っているのか、なんとなくわかりませんか?

鳥網(もう:種よりも上の分類のことです。鳥を捕まえるのに、禁止されているのは霞網です)はAvesと言うのですが、恐竜から進化した、非常に沢山の脊椎動物の総称です。分類が複雑で多様な種が存在するので、鳥好き、も非常に細かく分かれているように思います。

さあ、前置きとしてくだらない事をダラダラと書いたのですが、単にこの写真を皆さんに見せたかった。

https://x.com/ohayoshimaenaga/status/1754234620357542135?s=20

シマエナガは北海道に生息するらしいのですが、千葉にはこれとよく似たチバエナガが見られるそうです。エナガは尾が長くバランスが良い姿かたちをしています。バレリーナのようなポーズが良く似合います。視線も見事です。

散歩をしていると色々な鳥と出会うことが出来ます。鳥に詳しい人と散歩をすると、楽しいですよ。こんな記事を書いたせいか、先日家の近所でエナガを見ました。

別の友人の話ですが、Youtuberデビューをしたときに「自分の趣味では視聴者が集まらないが、動物ならいける」という戦略でワンコ登場。現在では何万人も登録するチャンネルになっていると聞きました。動物はコンテンツとして非常に強いです。

私は電子カルテ開発のお手伝いをしてるんですが、絶対に動物のキャラを登場させたほうが売れる、そう強く思っております。

英語の勉強法が多様になったと感じる瞬間

言語の学習と習得は、時代と共に変化し続けるプロセスであり、特に英語のような広く使用されている言語においてはその傾向が顕著です。学習方法の革新や技術の進歩はますます多様となっています。

このエントリーでは、私が最近英語学習方法の多様性を実感した瞬間に焦点を当てます。それは、技術を駆使したツールの使用を通じてでした。

では実際のプロセスをご覧に入れます。この文章は私の書いたエッセイの一部です。英訳を意識していない、主語のはっきりしない文章です。

長寿庵についたら「何名さま?ひとり?あーーーーーあそこ今片付けるから座って!」とすぐに通された。 で、相席でおひとり上品な女性、そして相席でもうひとり紳士、お客さまが来たんだけども、挨拶の感じからして後者の紳士はお得意様らしい。知らない会社のバッジをつけている。

脈絡のない文章ではありますが、機械学習により高い精度を誇るDeepLというツールで翻訳するとこうなります。

When I arrived at Chojuan, I was asked, “How many people? Alone? Aaaaaaahhhh, we’re cleaning up over there now, so sit down! And We were immediately ushered in. One elegant lady came to sit with us, and another gentleman came to sit with us. He is wearing a badge of an unknown company.

大きな間違いはないように思います。しかし抜けている部分や主語の間違いはありそうです。読んだ人に意味や雰囲気が伝わるかどうかはわかりません。さてこれをchatGPTに校正してもらいましょう。chatGPTはLLM(大規模言語モデル)と言われる人工知能で、自分は課金して最先端のものを使っています。 「この文章をイギリス英語で校正して下さい」と頼みました。するとこうなります。イギリス英語で、は最近自分がよく使うプロンプト(人工知能への命令)です。なんかお堅い表現が出てくるので好きなのです。

Upon my arrival at Chojuan, I was greeted with, “How many? Just yourself? Ahhhhh, we’re just tidying up over there now, so please take a seat!” And with that, I was promptly shown to my table. An elegant lady joined me, followed by a gentleman, who appeared to be a regular given the way he was greeted. He sported a badge from an unfamiliar company.

するとDeepLでは抜けていた部分が補足され(下線部分)、間違っていた主語も直っています。(青文字)

DeepLは人間がよくやる「わからないところは抜かす」をきちんと真似ます。それはDeepLが人間から素直に学んだ人工知能だからです。一方LLMであるchatGPTは人間に学んだというよりは、LLM同士で会話して進歩するため、「抜けが少ない」が特徴となっています。

この校正でほとんど問題ないように思えますが自信がないので、さらに文章校正AIで確かめれば良いのかもしれません。”And with that,” あたりが怪しく感じますが自分的にはこれで十分ではあります。

さて英語になってみると、江戸っ子口調の女性店員の立ち居振る舞いをもっと表現したら良かっただろうか、相席であることを書くべきだった、紳士のつけているバッジは茅場町という土地柄、証券会社なのかなと思ったりしたので、それを描写すべきだったかもしれないなどとも思います。言語が変わると文章の見え方が違ってきます。

お馴染みさんが席に通されるときに “ who appeared to be a regular given the way he was greeted.” なんて表現は思いつかないわけです。この表現の解説もさらにchatGPTにお願いしますと、実によくわかりますよ。⇨リンク

私が高校3年のとき、ギリシャ人の語学の天才(キエサ先生)が英作文を教えてくれていました。彼は日本語ですら我々よりも上手いレベルなんです。その英語表現が見事過ぎ、とても真似ができない。高い壁となってそびえ立ち、とうとう英語苦手意識を払拭出来ないまま40年が経過しました。

LLMもキエサ先生も高みにあるのは同じ(キエサ先生がエベレストであり、LLMは富士山ぐらいかもしれないけれど、平地の自分からは見分けがつかない)ではあるもの、細かく細かく質問できるのは圧倒的に前者です。その表現はどう解釈?別の表現は?など、理解できるまでのコミュニケーションコストが全く異なります。人工知能相手の勉強は、私たちの学習方法に革命をもたらし、新たな視点から英語に接する機会を提供します。これは数学においても全く同じ事が起きています。

この学習方法では嘘が拡散されやすいことも懸念されています。真偽の見分けが難しいのです。真偽の保証については、新たな仕組みが出てくるとは思いますが、私のような「勉強慣れしている人間」がアドバイスするほうが上手くいくとは思いますので、困った場合には質問して下さい。

ミニトマトはつい食べてしまいがちである

内視鏡をする朝の会話で、こういうのがありました。

「すみませんミニトマト食べちゃって」
「内視鏡の朝あるあるです。お弁当作ってたのですか」
「そうです」
「食べたのは1個ですか」
「2個です」
「2個!それは新しい。何時頃?」
「7時前かな」
「たぶん大丈夫です、やりましょう」
「よかった」

私とて内視鏡歴20ン年、万をこえる症例数を誇るわけで、朝ミニトマトを食べてしまった人を内視鏡することは1度や2度じゃない。

むしろ、朝ミニトマトを食べた人は片手ぐらいの人数経験しています。むしろミニトマトは多いほうだと言えます。お弁当にミニトマトほど便利な食材はありませんね。昭和50年代半ばにタキイ種苗がプチトマトの種を発売して大ヒットしたのがきっかけらしいです。

ミニトマトとプチトマトの違い | 雑学ネタ帳

ところが現在まで、胃にミニトマトが残っていた人はいません。これはなぜでしょう。逆に大腸検査のときに、ミニトマトは残って邪魔なのに。そのヒントですが、ミニトマトは水に沈む食材だという事。比重が高いので胃を早く通過し消化管内を進み、しかし重いために盲腸で留まるのかな、などと思います。

内視鏡の日、自分は朝ごはんを食べてはいけない、とわかっていながら家族のお弁当を作っている場合は良くあって、つい食べちゃうのではないか、ミニトマトが1−2個残ったりすると。むしろその方のライフスタイルを示すほのぼのエピソードと言えそうです。

内視鏡の日、「子供が朝ラーメン残しちゃったので食べたんですけど」という人がいて、この胃にはさすがに結構ラーメンが残っており(エコーでわかる)内視鏡は次回、となりました。

内視鏡の日に血圧の薬を飲んでくる人がいます。当院に以前よりおかかりの患者さんたちは完全に私を信頼しているためかわかりませんが、血圧の薬を飲まなくても朝の血圧が低いのですが、そうでない方は「他の病院では内視鏡の日の朝は薬を飲んでこいと言われるから」などの理由で血圧の薬を飲んで来院されるのです。緊張されるよりはその方がいいので「どうぞ」と申します。しかし血圧の薬は粘性が高い薬が多く、胃に強固に付着してしまいとても観察に邪魔なんです。そこでいいアイディアが浮かびました。ミニトマトに血圧の薬を埋め込んで飲めば上手く胃を通過しないでしょうか。

内視鏡の朝の食べ物の話を書いたので、関連して昔書いたエッセイを紹介します。これは飲みものに関するものです。「荒唐無稽に感じても人の話には真摯に耳を傾けなさい」という事を書いています。

自分の常識を疑うべき時

塩味の話

前回の外来でキムチを食べすぎている方がおられて、塩分が多いんですよという話をした気がしていました。塩分が多いから気をつけましょうとカルテに書いていないから、その話をしたか定かではない。でも話の流れでそういう事は言うでしょう。血圧が高いんだから。

さて、塩は1日6gまで、と言うけれどみなさん普段意識できますか?

実はみなさんが意識できないようにされているのではないか、罠があるのではないか、とよく思います。というのも、食品の成分欄に「食塩相当量」が書かれずに「ナトリウム量」が書かれている事が結構あるから。

例えば100gあたり、ナトリウム500mgみたいな感じです。これを塩500mgだと勘違いしている人は多いのです。

違う。

これを食塩相当に変換する必要があり、その計算は簡単で覚えやすいから書いておきます。

1インチは2.54cm(99%の人が知っておいて欲しい数字です)でしょ?それと同じ「2.54」という数字を使います。暗算の場合2.5(10倍して4で割る)でも良いです。

ナトリウム(mg)x2.54=食塩(mg)

がその計算式です。もちろん2.54という数字は偶然同じなだけですが。

塩分相当量、キムチは100gあたりナトリウムが870mg(と、成分欄に書いてある事が多いです)だから、870x2.54≒2.21gという事になる。塩分2.2%という事です。

ここでやはり99%の人が知っておいて欲しい知識を書きますが、海水は塩分が3%で、生理食塩水は0.9%です。

塩分が2.2%という事は、海水3%より薄く、生理食塩水0.9%より倍ちょっと濃いという事でして、味としてそんなものだと納得して下さい。

一方、ぬか漬けを作る時には、ぬか、ぬかと同量の水、ぬかの13%の塩分を使います(6.5%ということか)が、これもそんなものだろう。結果としてきゅうりのぬか漬けは食塩が5.3%になると言われます。濃いね!食べる時は覚悟して欲しいです。

素人が作る梅干しは一番食塩が薄くて8%とかそのぐらいですが、腐りやすいので、普通は10%ぐらい。売り物にする場合は最低ラインが10%で、13%程度ぐらいまでの塩分です。

自分は漬物が苦手で食べないので、毎日の塩分計算には含めませんが、食生活が豊かになるので食べる方々も多いと思います。梅干しでは腐敗を防止するためにある程度濃い塩が必要であり、ぬか漬けでは穏やかに乳酸菌を増やすために6.5%の塩分が必要であり、キムチはもっと早い発酵スピードであり2.2%程度ということになるのでしょう。それぞれ必要な塩分ではあり、大切に扱いたいものですね。

ちなみに乾燥パスタを茹でるときの塩分量についても考え出すと切りがありません。塩水が濃いほどアルデンテ状態が保たれるとされ、大変濃い塩水で茹でる事を推奨するレシピもあります。その場合は相当の塩分が麺に染み込みますからね。

文化と塩分とは戦わねばならないのでしょうか。

さて、何%の塩味を美味しいと思うのか、は人によって違いますが、0.9%を美味しいと感じる人は少し気をつけましょう。0.8%、0.7%、0.6%とだんだんお吸い物などの味を薄くしていくと、慣れてきます。最近のレシピは塩分を%で書いてくれているものがありますが、ロジカルクッキングよりも以前からそういうものはありますよ。

0.6%の塩分をGoogle Homeで計算する方法。台所にGoogle Homeは必需品。 - 勝間和代が徹底的にマニアックな話をアップするブログ

例えば、Cooking for Geeksもそうです。

Cooking for Geeks 第2版 ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)

調理を数学にすることもできます。分子調理という考え方です。

料理と科学のおいしい出会い: 分子調理が食の常識を変える (DOJIN文庫)

料理が苦手、には2つあると思うんです。

  • マネジメントが苦手である
  • 味が決まらない

マネジメントが苦手な方は、MBAの勉強でなんとかなるとしてもちょっと道のりが長いとは思うんですが、味が決まらない、に関しては科学でなんとかできる問題なので上記参考にしていただければ幸いです。

さて外来に戻りましょう。

「前回果物食べすぎていた件ですが、控えてらっしゃる?」
「可能な限り控えてます」
「そういえばキムチ、食べてらっしゃるの?」
「キムチですか?いただいてますよ」

えー、食べてるんだ……と思ったけれども、「いただいている」という表現が良いなーと思って、控えたら、とは言わなかった。

「では、お薬はこのままで。2ヶ月後はエコーの検査をさせて下さる?」
「良いですよ」
「ではお大事にして下さいね」
「ありがとうございました」

僕の指導は甘いと思うけれど、胃の医者だから患者さんには「食べなさい」というのが仕事なんだ、と言い訳をしています。

アジアでは認知症がスティグマになっている可能性

長谷川先生の「ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言」という本があって、Kindle Unlimitedで読むことが出来るんですが、彼自身が認知症を受け入れる過程と、それをスティグマにはしないでね、という大切な事が書いてあるんです。

自分のレターを全部読んでいる人ならば、長谷川先生の書いているほとんどのキーワードはわかるはずです。

Factors associated with attitudes toward research MRI in older Asian Americans

この論文はしかし、アジア人(特に南アジア系)では認知症がスティグマになっているかもしれない、という事を示したものです。アジアの宗教観とか民族意識みたいなものが原因なのかどうかはわからないのですが、認知症を畏れているか、あるいは無視するかして、研究への参加が消極的になっていたり、認知症診断が遅れている可能性を指摘しています。

暮らしの障害」が認知症の本質であり、本人に問題があるとは捉えないわけですが、精神病同様に、なにかしらのレッテルを貼るような心理が存在すると、早期発見が難しくなってしまいます。

当院では逆に「早くMCI(軽度認知状態)を見つけたい」と意欲的な方がおられます。これは大変に素晴らしい事です。未来に光が見えます。VSRADをはじめ、情報収集に努めているところです。

悲報:ORS(経口補水液)は偏見のために使われていない

Scienceの原著論文を、Natureが肯定して評論するほど重大な問題が起きています。 (ScienceNatureは世界で一番影響が大きい科学誌の両巨頭です)

Why a cheap, effective treatment for diarrhoea is underused

毎年、世界中で 50 万人の 5 歳未満の子供が下痢で死亡しています。そしてこれらの子供の多くは、簡単なORSの処方で救命できる可能性があります。しかし、医師や薬剤師はこの症状に対してこの安価な救命治療法を処方しないことがよくあります。なぜか。

さて、医療従事者のこの心理は、ORS の供給不足によるものなのでしょうか、抗生物質などより高価な薬を販売するインセンティブによるものなのでしょうか、あるいは患者の求めに応じた結果なのでしょうか。

Scienceの論文はこれをエレガントに証明しました。患者役である俳優をランダムに紛れ込ませ、「ORSを処方して下さい」と言わせました。インセンティブや在庫についても差を見ました。ORSの処方が少ない理由は、診療所や薬局の金銭的インセンティブや在庫不足ではなく、患者の治療の好みがはるかに重要であることを発見したのです。患者が希望すれば素直に医療従事者はそれを処方するのです。一方で、患者が言わない場合は「たぶん希望しないのだろう」と過度に処方が少ない事が示されました。

陰謀論者には残念な結果となりましたが、根深い問題を抱えています。ORS が命を救う薬であると医療従事者や人々に十分に伝えてあるにも関わらず、製薬メーカーの陰謀なしにこの状態であるという事実です。啓蒙という点で限界に達した場合に次の一手をどうするべきか、少なくともこの研究者や、ScienceNatureの編集者たちにはアイディアがない、という事でした。

日本でも抗生物質の使用量が多いのは患者の求めに応じているからだ、という側面が大きく、「小児抗菌薬適正使用支援加算」というような、「抗生物質を使わないですからね、と説明をするとお医者さんにお金が入るインセンティブ」があるのですが、残念ながら機能していません。小児の話とは違いますが、「膀胱炎だ」と主張する患者さんの「抗生物質くれ」圧力もまた凄いものです。

医師は患者にとって最善な方法を下すと考えられがちですが、実際にはそうではありません。患者を満足させることに基づいて決定を下す側面があります。これには、患者が満足しなければ再来しないという財政的な動機が潜在しています。どう介入すれば、患者と医療従事者双方が満足するのでしょうね。(解決のヒントはバズり〜エコーチャンバー〜にあるんじゃないかなと思って情報収集はしていますが)

おかめそば

お正月に「福笑い」で遊ぶ、という事もしなくなって久しいと思いますが、正月っぽいお話。

火曜日とか木曜日は医者の仕事はせず、その日は横浜駅で人と会ってから東京の箱崎に行く予定がありました。箱崎のオフィスは水天宮前と茅場町のちょうど中間にあります。

横浜駅から箱崎まで行くのに2つのルートが思い浮かびました。

  • 東海道線で東京方面へ向かい、大手町から半蔵門線で水天宮まで行く。これは東京駅から大手町まで丸の内線で一駅ぐらいなので歩いてしまうという手もあります。
  • 京浜急行で泉岳寺、そして東銀座で三田線から日比谷線に乗り換えて茅場町。久々に京浜急行乗ってみたい気がします。

その日は茅場町の長寿庵の気分だったんですね。だから後者でGO。

銅子会Webサイト|茅場町 長寿庵

木鉢会|加盟店一覧|茅場町 長寿庵

長寿庵は、地下鉄の出口さえ間違えなければ、駅から徒歩1分ですからすぐに到着です。角のビルの地下にあり、お昼は混んでますけれど、そんなに待たずに座れるんです。

入り口についたら早速店員の女性と目が合いました。「何名さま?ひとり?あーーーーーあそこ今片付けるから座って!」とすぐに席に通されました。

で、相席でおひとり上品な女性、そして相席でもうひとり紳士、お客さまが座ったんですけれど、挨拶の感じからして後者の紳士はお得意様らしい。知らない会社のバッジをつけています。近所の証券会社でしょうか。

じゃあ今日は、おかめそば

その注文を聞いた途端、さきほど舞茸きつねせいろを頼んだ自分はちょっと後悔をしたんです。おかめそばなんて、この人生で食べた事がなかったもの。

舞茸きつねせいろの向こうにおかめそばがあると想像して下さい。

舞茸きつねせいろの向こうにおかめそばがあると想像して下さい。

おかめそばって何が乗っているんだろう。自分の蕎麦そっちのけで紳士の食べるものに目が行ってしまいます。

まず目についたのがいい感じに焼けた大きなお餅が一つでしょう?それだけでもう優勝なのですが、あとはお寿司で出てくるような卵焼き、かまぼこ、手毬麩、ほうれん草か。ネギは別添え。要するに江戸っ子が好きなもの全部乗せなわけか?なるほどー。

紳士はとりあえず順不同で口に入れるみたい。卵焼きでしょう、お餅でしょう、かまぼこでしょう、お餅でしょう、お麩でしょう、ほうれん草でしょう、お餅でしょう。最後にちょっとだけお餅が残った状態。あとおそばは半分ぐらいは残っている。

お、ここでネギ投入?そっか達人はこのタイミングで辛味を入れて仕上げるのですねー。きれいに召し上がりました。

僕といえば、最初からネギを汁に投入してしまい、舞茸とキツネと火が通った美味しいネギの個性を自分で消していました。涙目になっています。

次回からは最後にネギ入れようそうしよう。

そしてもう一つ気づいたことがあるんです。おかめそばはおかめさんの顔だ、と言いますが茅場町の長寿庵のおかめそば、全く顔を模していないんですね。どれが目なんだか、どれが口なんだか全然わからない具の配置だったんです。むしろ蕎麦として完成している見た目でした。でもそれで良いんです。顔の配置はバラバラなのがむしろお正月っぽい福笑いを連想させるのです。いやあ洒落た仕掛けだなあと感心しました。