免疫系サプリメントの罠 / 微妙な体重の変化に気づけるか / トイレで窓を開ける話 / 人間ドックでの見逃し / 噛んで良い薬と悪い薬 / ナポリピザがあまったら / 糖尿病になる人ならない人 / Veteran ≠ ベテラン
目次
免疫系サプリメントの話
慢性関節リウマチで治療中の方からこう言う質問があった。
「私が免疫を強くする系のサプリメント飲んだら、炎症が燃えてリウマチが悪化しませんかね?」 と、写真を見せながら言う。 「可能性はありますよね、良い質問ですね」 「では飲まない方が良いですね」 「そのように思います」
という会話だったけれど、話をぶち壊さないように「効く」という性善説で答えただけだ。実際には全然違うことを考えていた。
この質問は本質をついている。そのサプリメント、具体的にはLPSだったんだけども。(LPSという言葉はあとで登場します。LPSとは大腸菌やサルモネラ菌などグラム陰性菌の細胞壁を構成する成分です。免疫が強くなる!!などと言うけれど基本的に細菌に対する反応と同じ事が起きる、ぐらいに考えておいてください)
ちょっと脱線するけれど、本庶先生がノーベル賞をとった、免疫系を賦活して抗がん作用を発揮するオブジーボ(一般名:ニボルマブ、ブリストルマイヤーズー小野薬品工業)という薬がありますね。色々な治験は同類のキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、MSD社は旧メルク社)という薬が先行しており、いろいろながんに使って良いのは後者が多いです。メーカーの力、を強く感じますが、これらは両方抗PD-1抗体で、免疫チェックポイント阻害薬とも言う。日本ではオブジーボが売れてますが、世界ではキイトルーダがダブルスコアでオブジーボに勝っている。(適応症が多いから)これらの薬こそまさに「免疫賦活(免疫を強くする)」でありまして、がんへの免疫がもちろん特異的に強くなるべく設計はされているけれど、副作用として「免疫強すぎ問題」すなわち自己免疫疾患発症が少なくないです。
免疫を強くする、実際には癌細胞が自分の生存を有利にするために免疫系細胞から攻撃されないように隠れているのを「ここにいるだろ」と見つける働きをするのがオブジーボとかキイトルーダの役割だと思ってください。しかしいくら特異的に設計されてはいても、癌細胞以外でもPD-1は利用されているわけだから、賦活すれば免疫関連有害事象(自己免疫疾患を起こす)という副作用が起きます。具体的には潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患が誘発される場合があります。
強けりゃいいってものじゃない
「免疫が弱い」とか「免疫が強い」という言葉はバズワードと言います。専門家が素人にわかりやすくするために用いた言葉を、マーケティングで都合の良いように利用しているだけです。ぼやけた意味しか持たないのですが、しかし、冒頭の質問をしてくれたこの患者さんの感覚は正しい。
免疫を刺激しまくれば、有害事象は起きえます。
(免疫を刺激しないものは、安心してサプリメントとして売れる)
抗PD-1抗体は、生きるか死ぬかの病気をコントロールできると言う意味で画期的だから数10%ぐらいの患者さんに有害事象が起きたとしても許容され発売が許可されます。
ワクチンも免疫賦活のひとつの方法ですから、免疫系が過剰反応する可能性があるので予防と対策が重要になります。問診をするのはそのためですし、発熱に解熱剤を使うのもそれです。しかしワクチンは有害事象が多くてはいけないから、ゼロに近づけるべく、そして起きた時には素早く対処すべく医療従事者は準備をしているとご理解ください。
さて、私は横浜市立大学の第三内科大学院の出身で、ここでリンパ球(白血球の一種)の研究をしてました。リンパ球が増えるかどうか、は患者さんの免疫能力の指標の一つで「リンパ球幼若化試験」と言いますが、超めんどくさい&外注だと高価&保険で査定されやすい無駄な検査という位置づけであり普通は行いません。しかし、実験室で自ら行えば「面倒だけど安くできる」という事で日課になっていました。
何をするかというと、最初に患者さんとかマウスとかラットから採血をしてリンパ球を分離します。それを培養液に入れて、100個ずつとか、何個だったか忘れましたが試験管(96穴プレートだったかな)に入れます。その試験管にポタポタと刺激剤(マイトジェンという非特異的刺激物質)を入れます。培養槽に入れ、1日ぐらい経ってから試験管の中のリンパ球がどのくらい増えたかなーという事を見るのです。実際にはトリチウム(H³)の取り込みを見ていた気がします。
その刺激剤がたくさんありまして、インゲン豆から抽出したPHA、タチナタ豆から抽出したCon-Aなどが一般的です。それらはT細胞に働きますが、冒頭出てきたLPS(カビなどから抽出したリポポリサッカライドという物質)はB細胞のマイトジェンなんです。
普通こういう非特異的な刺激剤は「毒」の範疇に相当します。やばい奴、と判断すべきなんですね。LPSというサプリメントが出てきたとき僕は単純に「やべー」しか思いませんでした。笑
リンパ球が増えるほどのLPSを血中に投与したら全身的にはとんでもない事になります。実際タバコですらかなーり白血球を増やしますしね(しかも結果は免疫賦活どころか全然悪い)。しかし腸の中には何兆個ものグラム陰性菌がいて、毎日何千億個も死んでいて、そのLPSだらけのはずです。だから、飲むサプリメントとしてLPSを飲んでも、身体が気づくわけがない!レメディか!儲かる!頭いい!笑
LPSをディスりたいわけじゃあないんです。例えばの話、体内のどこかで炎症を起こさせると、どこかの炎症はおさまってくる、的な仮説がある。(免疫バランス、免疫ホメオスタシスで検索)LPSを飲むと腸で炎症が起きるから、別の場所の炎症は勢いが衰えるなんてことはあんのかもしんない。便秘の人が使うと、炎症のせいで普通の便になってみたりすることはあるのかもしんないし、否定するつもりは全然ないけども、とりあえず
免疫云々を謳うサプリメントについては、作ってる側が全然理解してない(あるいはあるていど理解し、かつ騙そうとしている)わけで、そんな製品を買うあなたはどうなの?
と思わざるを得ません。某イカサマクリニックではオブジーボを何十〜百倍かに薄めて打っているとかいないとか。騙されないでくださいよ、お願いだから。
要するに「免疫をどーのこーの」というサプリメントについて話題にすることはほとんど時間の無駄です。冒頭の会話は意味があったと思うのですが。無駄じゃなければ自分がとっくに勧めています。例えばビタミンDを飲みなさいとか亜鉛を補給しなさい、は鉄板の指導でこれはとりもなおさず免疫バランスを助ける目的です。
違いがわかる大人
「微妙な体重の違いによって、人の身体の調子は変わることがある」という私の説明にすぐさま「そうですよねえ」と反応してくれた方は職人さんで、若いけれどさぞ腕が良いのだろうな、と思いました。
格闘技など500gで勝敗決まるぐらいコンディション変わりますし当然の事なのです。ふつう人間は1日で1kg以上体重の増減があるのが普通ですが、私が言っている体重とは、いわゆるその人の基準になる体重の事です。
何を説明したかというと、医療ビッグデータ界にちょっとしたセンセーションと、やられた感を醸し出したWithingsの体重計を利用したNEJMの論文です。
患者さんには以下の説明をしました。
- 休日には平均体重が増加する。日本では増加の程度は最大0.4%とわずかだが、サンプル数が多いので統計学的に有意差が出、意味のあるデータです。ビッグデータのパワー。(過去に2%なる統計があったようですが、それは否定される)
- クリスマスを祝い正月2日から仕事をするアメリカと正月を祝う日本ではピークが5日ぐらいずれているでしょう?さらに日本はお盆、3月末のお花見の頃、そしてゴールデンウィーク、休みになると体重が増加しているのがわかります。
- 経験的に逆流性食道炎の増悪は、こういう時期のあとによく見られ、その差が僅かな事も私にとっては非常に納得が出来ました。500g以下の体重変化が逆流性食道炎では重要です。今回の増悪もお正月以後ではないでしょうか。
一方、わずかな体重の変化でも症状の増悪が起きる可能性がある事を素直に納得してくれない人は、普段大雑把な人生を歩んでいると言えましょう。
Weight Gain over the Holidays in Three Countries N Engl J Med 2016; 375:1200-1202 September 22, 2016 DOI: 10.1056/NEJMc1602012

ところでお正月、体重が増えない人々がいる事にも気づきました。
「お正月が忙しすぎて」
これはお客さまを迎える側の人々でした。
おもしろい話
患者さんと自分は「たいわをしている」などとプラトンぶることもあるけれど、実際には「たわいのないはなし」をしている事のほうがむしろ多かったりします。
そんな会話には意味があるのかなと思っていますが、ある患者さんが張った伏線を、次の患者さんが回収してくれる、そんな不思議な事が起きるからやめられない。しかもしばしばあるので、自分だけが面白がっているのも勿体無いので紹介します。
冬といえばヒートショック。歳時記にヒートショックはまだ季語としては掲載されていないのかもしれないけれど、相当普及した概念ではありますよね。
「ヒートショックの話をしても良いだろうか、ご存じと思うけれど」
「お風呂とトイレですよね」
「あたためてますか?」
「それがね、寒いんです、トイレが」
「もしかして便座が省電力モードになっていませんか?自分それで心臓が止まりそうになったこと2度ほどありますが」
「そうじゃなくて夫が窓を開けるんです(ちょっとぷんぷんしながら)」
「それは予想しなかった、なぜ」
「トイレの中は空気に大腸菌がいるとかなんとかで」
「ご自分は暖かいトイレで用を足し、窓を開けて出て行ってそのあと閉めないんでしょう?そしたらあなたはいつも寒いじゃんねえ。それは怒って良いのでは」
「怒ってますよ」
という話が面白かったので、次の男性に、
「ヒートショックの話をしても良いだろうか、ご存じと思うけれど」
「お風呂とトイレですよね」
「それがね、夫がトイレの窓を開けてしまうので怒っているご婦人がいるんです」
と、上の話をしてみたら普段あまり笑わない方なんだけれど、表情が緩んでいる。
「そんなに面白いですか?」
「僕も開けるんで」
という会話がありました。面白いでしょう?
つまらない話
微生物汚染と換気
トイレで発生する感染症がクローズアップされたのは2003年です。香港でSARS-CoV(2じゃなくて1のほう)が流行したときに排水の設計不備で下水中のエアロゾルが逆流し、高層マンションで300人超が感染したのです。死者も出たから大問題。トイレは換気扇ががんがん回っていて陰圧なものですから、きちんと排水されないと危険なわけです。
ただ設計ミスがない限りこのような逆流は起きません。トイレにはもちろん微生物汚染が起きますが、窓開け換気によって予防できるという研究はありません。塩素系消毒剤で便座を処置する、などを感染症の家族がおられる場合には指導したりはします。
マニアックが高じてTOTOが除菌便座を商品にしてしまっていますが、これとて便座は消毒できません。基本は変わりません。
微細なミストが便座裏も「きれい」を保つ。子どもの傘を回す様子が開発のヒントに
したがって、窓を開けてしまうという男性の本能?は、「なんとなく」の範疇を出ないと結論して良い。でももしかしたら冒頭の男性諸氏は、このニュースを読んでいた可能性はあると思います。
しかし実際には1分間に何Lという換気の基準が各国で決められていて、それに沿って換気していれば問題はないはずですが、こういう話はとてもつまらないんですよね。
人間ドックのコメントが的を射ていない
患者さんからの相談ですが、たしかに仰るとおりと思ったのがこれ。
- A1cが6.1%あり、3ヶ月後に再検と人間ドックでは書かれていたから鵜川さんで診てもらおうと思っていた。
- しかし自分はコロナ鬱かわからないのだが、ここ半年ぐらいで8kgやせている。
- お腹は異常にすくし、なんかおかしい気がする。3ヶ月経ってないが受診して良いか。
1年で5%以上の体重減少があった場合、本来即受診案件だと思うんだけど、コンピューター任せなのでこういう見逃しがドックには結構あります。ドックで導入しているソフトウェアにそのアルゴリズムは載っていないようで。
しかしそれ以前に、症状がある状態でドックは受けてはいけません。例えばこういう経過になったりする。
- 腰痛もあるしちょうど良いと思って人間ドックを受けた。そして胃の検査で異常とされ、精密検査を受けることになった。さらに造影CTでも異常が見つからなかった。
ドックを受けて精密検査まで受けたけれど、医者が主訴を無視していたため全然意味なかった症例です。結果、病変は骨盤内、しかも胃は最初からなんでもない。人間ドックは全身をみているという幻想は捨ててほしいんです。がん研有明病院健診センターは親切で、人間ドックの申込みの際症状の有無を聞いて、症状がある方は外来診療に誘導しています。
噛んで良い薬/悪い薬
マーロックスという薬があります。乾燥水酸化アルミニウムゲル448mg、水酸化マグネシウム400mgが1g中に含有され、それを1日あたり3.6g服用するといい感じの制酸剤かつ緩下剤になる神薬で世界的ブランドでしたが、いろいろあって日本や米国では発売終了になりました。これはイタリアのマーロックスサイトです。
Maalox: rimedio per reflusso acido e bruciore di stomaco
このうち水酸化マグネシウムが緩下剤作用を発揮し、マーロックス3.6g=1440mg/dayが1日量ですので、ミルマグ350mg(これは水酸化マグネシウム)という錠剤だと4錠(1400mg)がこれに相当します。
したがってマーロックスを今まで服用していた人々は、毎日ミルマグを4錠飲めば良い。簡単ですね。
数学の問題ですが、「このミルマグを1日朝昼夕3回以内に分けて服用することにせよ、どのような飲み方があるか。ただし1回に服用するミルマグは2錠を超えてはならない」とすれば答えは以下の通りです。(朝-昼-夕)と表したとして、 (2-0-2), (0-2-2), (2-2-0), (1-1-2), (1-2-1), (2-1-1) の6通り。朝食を食べる人では(2-0-2)、食べない人で(0-2-2)、3回飲む別の胃薬を使っている人では(1-1-2)などと指示することが多いです。同時服用した際の相互作用は考慮します。
一方で「胸焼けなど胃酸が原因であろう症状があるときに頓服でミルマグを服用することを許す、ただし1日の総量としては6錠を超えてはならない」というルールを付加しても良いでしょう。結果として便通が柔らかくなる可能性をきちんと理解できる人向きの指示です。
さて、薬は腸で吸収されてほしいものを除けば、粉のほうが早く効くに決まっています。しかしそれ以上に早いのは舌下で、ニトログリセリンは舌下錠です。ビタミン剤も舌下が効き、チュアブル製剤があったのですが、流行せずに終わりました。抗アレルギー薬のロラタジンODは舌下でも効いていて効果がすごく早いです。当院ナースから教えてもらった時には驚愕しました。しかしなぜデスロラタジンにはODがないのか、そもそも抗アレルギー薬は全部舌下にするべきではないか、製薬メーカーを問い詰めなければなりません。
さて粉の吸収が早いのは物理的にあたりまえとはいえ、PTPよりも消費期限が短くなりがち、パッケージが大きくなる、味が悪い場合がある、規定の単位を正しく飲めるか保証がない、飲みにくい、などの理由で錠剤あるいはカプセルとして発売する事が多いです。一方錠剤が大きくなってしまうと飲みにくいという問題が起きます。
ミルマグがまさに「大きくて飲みにくい薬」です。まあ、350mgの主成分に対しデンプンなど200mgを付加して1錠550mgもあるので当然なんですが。ただ大きいにも理由があるようですよ。似た薬でマグミット330mgというのがあって、これは396mgの錠剤で小さく、66mg分は接着のための成分なんですがかなり硬くて噛み砕くにちょっと苦労します。一方ミルマグは、簡単に噛み砕くことができてしかもメンソールの味がついています。
明らかに噛み砕いて飲むユースが考慮されている
としか思えません。デンプンをある程度いれてやわらかい錠剤になっているんです。ミルマグは「大きい錠剤だが、噛んで飲んでしまえば飲みやすいし即効性もある。味は苦くはない」ということになりますね。実際即効性があるので、自分は噛み砕いて飲んでいますよ。どうせ飲むならすぐ効いてほしいもん。
噛んだらいけないかもしれない薬もある
タケプロン錠という薬は13層だかコーティングされていると武田製薬が豪語しており、これはもちろん製法特許をずらして申請してジェネリックが出せないようにする防衛戦略ですが、これは噛むと効かなくなるそうです。でもOD錠が出ちゃってあんまりそこまで意味のある製法ではなくなったのですが。徐放錠の中には噛み砕くと早く効いてしまうものもあって気を付けるべきではあります。
消化剤も本当は粉がいいが、苦い
という問題があります。これを解決したのはタフマックEという神薬でしたが、これも販売終了しています。タフマックEはセルラーゼという酵素も入っているという意味でも神でした。術後胃、あるいは機能性ディスペプシアでは消化剤が非常に重要だという概念は昔は常識でしたが今は失われた知識です。この理由は平均体重が増えたことにより、痩せた人が太るためのノウハウが必要なくなったからですね。時代だからしょうがないんですが残念。腸で溶ける消化酵素剤(リパクレオン)はありますが高いし胃の症状は改善しないので当院では使いません。1000億円ぐらいあったらセルラーぜ含有の粉の消化剤を再発売したいです。
カプセルは胃の中では浮きます
沢井製薬が、セルベックスのジェネリック、テプレノンカプセルを作った時に、溶出試験時に使ったのとは違う、溶けにくいカプセルに入れて販売しており全回収になったという問題があります。そのとばっちりで当院患者さんはセルベックスが使えなくなり迷惑な話です。さて、ジェネリックは溶出試験しかしませんから、とにかく溶けやすいカプセルにするんだろうと思います。一方で患者さんはすぐ溶けまくるカプセルでは困りますしね、コストはどっちが安いんだかわかりませんがきっと溶けにくいカプセルのほうが安いんでしょう、どっちにせよズルをした沢井製薬はよくなくてちゃんとデザインして欲しかった。
一方わざわざカプセルで作ったほうがいいという薬があって、それはアモキシシリンです。ピロリ菌の除菌のときに水に浮くので、それは胃内通過時間を伸ばすのに貢献しているんじゃないかなと思います。
ナポリピザがあまったらこう食べると美味しい
「ピザじゃなくてピッツァだ」と誰かに教えてもらった気がします。ごめんなさい。字数の関係でピザと書きました。ナポリピッツァ、ナポリピッツァはもちろん焼き立てが一番美味しいんでしょうけれど、アルベロベッロさんで翌日も美味しい食べ方を教えてくれました。書いちゃって良いのかなあ。これなら食べきれずに持って帰ってもOK。
ひとつ注意ですが、ナポリピッツァはあらかじめカットしないで、一人一枚ナイフとフォークで食べるらしい。で、食べきれないピッツァをお持ち帰りするという想定で読んでください。
食べきれないピッツァはくるくる丸めてサランラップ巻いて冷蔵庫に入れておく。 ・冷蔵庫から出したら1.5cmぐらいの輪切りにする。 ・オーブントースターで適当にチン。 ・美味しい。 絶対ハチミツつけたら美味しいだろと思って家にあるのを見たらたまたまイタリアのハチミツだったから嬉しかったです。 これはトリュフとチーズのピッツァでした。

「余るわけがない?」うーん、確かにそうなんですよね。
糖尿病になる人ならない人
糖尿病の30%は発見が遅れるために合併症が進むそうですが、なぜそのような事が起きるのでしょうか。毎年検診をしているのに。よく見るのは、A1c 5.8とか5.9で警戒しない人々がいることと、5.4%ぐらいからいきなりジャンプアップして発症するパターンで、後者は肥満とかアルコールを飲んでいる人です。自分が診ていればたぶんちょっと警戒したかもなあとは思うんですが、数字だけみていると難しいだろうと思います。「線形で考えると間違える」みたいな表現をしてみても良いと思います。
大学院時代に糖尿病(も絡んだ免疫)に関する研究をしていて、その後消化器をしていた自分は、内分泌の臓器としても消化の臓器としても膵臓を深く理解しています。その自分は75gOGTTという検査は意味ない感じがして、ほとんどした事はありません。しても初回だけで、通常は他の医療機関では測定しない15分での採血をしたりしていました。
というのも糖尿病の病態把握に重要なのが、5分10分15分ぐらいのインスリン分泌量(Cペプチドでもいい)だったりするわけです。しかし現状のOGTTじゃあそれ測定するの骨ですから。あと消化器の機能にずいぶん依存するし、痩せた人に75gのグルコースを投与するのは侵襲があります。だから他院でOGTTを受けた、と聞くと気の毒になるのです。
さて、HOMA-RとかHOMA-βなどの線形モデルがありまして、これはグルコースとIRIからインスリン抵抗性およびインスリン分泌能力を推定する指標です。線形だけにちょっとずれがあることも指摘されていますが便利で、自分はOGTTを使わずに、このHOMA指標およびFreestyleリブレ(自費)で指導しています。本人次第ですがかなり有効です。
でも先ほどちょっと言いかけたのですが、糖尿病に関わる因子は複数あるので線形でなはないほうが良いでしょう。そこで非線形モデルを考えた人がいました。
https://www.nature.com/articles/s41598-022-22531-3
サイエンティフィックレポートに2022年に出た論文で、これがOGTTより優れているとする論文がJournal of Diabetesに今年出たようです。これ。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1753-0407.13525
なんかわかりにくい論文で、結局誰が糖尿病になるんだよ?がいまいち理解できませんが、非線形なんだからしょうがあるめえ。OGTTよりも正しく糖尿病を予測したとのこと。計算式はSourceForgeにあるそうで、ダウンロードしなくちゃと思ってまだしていません。
論稿では、OGTTの結果(0, 30, 60, 90, 120)を代入して計算する松田インデックスについて触れられており、松田先生に敬意を表しています。我々のモデルはそれを補完します、的な書き方になっていました。いや、謙遜しなくて良いと思うのですが。
この指標はあとからレトロスペクティブに計算し直す事ができる点でも優れています。すでに当院にはHOMAを計算するために採血した結果(血糖とIRI)があり、それを再計算することで糖尿病予備群を新たに発見することが可能になるのです。こういう高度な事は他の電子カルテには無理なわけですよ。
ベテランとは退役軍人の事も指す
主訴「私の先生が若く見える。25歳ぐらいだ。大丈夫か」
回答「医師は若く見える場合がある。その先生はもう10年目なので、少なくとも34歳以上です。医師の実力は年齢や見た目とは関係ないのでその質問がちょっと残念。人を見てくれる?」
私の見た目はともかく、医師は超人的な体力のせいか、5歳10歳若くみえることは普通。なんならレーザーやら化粧で若く見せることも可能。
さっきの話の続き
「10年目はベテラン……と考えて良いのでしょうか?」
「10年目になりますと、若い先生を指導するような立場になります。プロ野球ですと10年目では有原航平投手、岡本和真内野手かな、サッカーですとプロ10年目はキャリアピークなどと言われます。そういう感じです」
「わかりやすいです」
医者10年目は専門医を取得して数年経過しており、優秀な人ならばキャリアのピーク初期、のような時期でしょう。医者の世界でベテランという言葉はあんまり使わない気がしますね。経験豊富な、みたいな事は言います。