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おしっこが黄色くなる仕組み / 費用対効果に優れた医薬品リストが重要な訳 / 体温が低い?本当に? / ベルクソンの「笑い」 / テクノロジー格差

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目次

おしっこが黄色くなる仕組みが結構人体のために有益で重要だと話題に

おしっこが黄色いのは「ウロクロム」という色素による、と習いましたがウロクロムは古い呼び方で、ウロビリンの事です。

尿中ウロビリン、という検査結果を見た事がありますか?

古くなった(100日経過して寿命が来た赤血球内の)ヘモグロビン(1日250mg~350mg)は脾臓などでマクロファージに貪食されて肝臓に運ばれ、そこでビリルビンに変化します。ビリルビンは胆汁経由で排泄されて大腸に至り、そこで腸内細菌により変化を受けてウロビリノーゲンとなります。ウロビリノーゲンはだいたい便として排泄されますが、一部は大腸から再度吸収されて門脈経由で再度肝臓に至り、血液を流れます。それが腎臓から排泄されます。ウロビリノーゲンは排泄時に酸化されてウロビリンとなります。難しいですね!

尿中ウロビリンは通常は(±)という結果となります。大腸の狭窄や便秘で(+)など陽性となり、溶血性貧血では(++)など強陽性となったりします。一方胆管が閉塞すると(-)陰性です。

ではどの腸内細菌がどのようにビリルビンを変化させるのか、化学的にはこうなのだろうと理解されていたものの、どの細菌が関与しているかは多様すぎてなかなか研究が難しいことでした。

それにチャレンジしたのが今回の論文です。最初は既知のビリルビン分解菌であるクロストリジウム属のいろいろな株を利用して、BilRなる酵素がどうもビリルビン分解をする鍵らしい、と突き止めました。次にこれに似た酵素を大腸菌の中などに探していきました。するとファーミキューテス門に属する多くの細菌がBilRに近い酵素を持っている事がわかりました。

興味深いというか、当たり前と言うか、新生児にはこれらのファーミキューテス門の細菌は少ないです。これは新生児黄疸と深い関係にあるのですね。

また、IBDの患者さんもこれらが少ない事がわかっています。結果として胆石が生じやすくなります。(オッズ比はUCで1.67、Crohnで2.22)

時々体質性黄疸でもないのに、ビリルビンが若干高い人がいますが、これらは腸内環境を示しているのかもしれません。

125年の疑問を力技で乗り越えたのが今回の論文です。これが全てでもなく、他のステップ(は、別細菌かもしれません)についての解明が必要なのですが、大きな示唆を与えてくれました。にしても、クロストリジウム属、やっぱ重要なんですよね。

フォーミュラリーの作成

鵜川医院が揃えている院内処方はイコールフォーミュラリーだ、ぐらい言えるように洗練していきたいなと常々思っていますが、なかなか。ではフォーミュラリーとはなにか。

フォーミュラリーとは

保険がカバーする医薬品のリスト(主にジェネリック医薬品)で、患者さんに寄与しコストベネフィットが高いリスト、ぐらいの意味です。

フォーミュラリーが必要な理由

パンデミックや災害で、お薬の不足が現実のものとなりました。皆さん目にされたと思います。不足が起きると、不公平な医療を行わざるを得なくなります。あらかじめリストを作り、企業の製造計画に影響を与え、お薬を十分に用意することで、不公平をなくす、これがフォーミュラリー作成の狙いです。総医療費を減らすことができると言うメリットがあります。

なぜフォーミュラリーは作り方のマニュアルはあるのに、フォーミュラリーそのものが公開されないのか

公開されているフォーミュラリーもありますが、ほとんどは非公開で「当院では院内フォーミュラリーを制定しています」と宣言しているに止まります。昭和大学が公開してくれていますが「製薬メーカーが営業に用いないこと」と注釈されている通り、市場に与えるインパクトが大きい(採用された医薬品が枯渇しがち)ので、非公開の場合が多いと思います。実は当院の採用薬は昭和大学と非常に近いです。

昭和大学フォーミュラリ|昭和大学病院

製薬メーカーと自分は付き合いがないので(たまたま友人がメーカーにいる場合は別ですが)忖度なしに採用できる、院内処方である(キャッシュフローを考えれば相対的に安い薬を採用するのが当然)、自分が勉強熱心だ、など理由は多数ありますが、一致率が高くて少々ホッとしています。

スウェーデンなど、人口が少ない国では国レベルで公開されたリストがあります。彼らは国内メーカーがほとんどないから忖度不要ですしね。日本は国内製造も結構あるのでその分複雑です。スウェーデンのそれは常にアップデートされており、見ていると勉強になります。

しかし、手に入ったもので、特に消化器系の薬をチェックしてみると、昭和大学とは一致していたから良いんですけれど、どうしても他所で作成されたものは、副作用とその対策、無効な場合の手間、などの因子が軽く扱われ、とりあえず1円でも安ければ良い、という選択をされがちだとわかります。特に支払側で作っているものはその傾向がある。

自分で作る場合、その部分はなんとかしたい。昭和大学をパクっても良いのですが、もっと言えば、ジェネリック医薬品のフィードバックを行えるのが院内処方である当院の特徴ですから、良いジェネリック医薬品を選択していきたいです。

災害時における必須医薬品リスト

災害時に特に必要になる薬を持って救助隊は駆けつけます。 1995年の阪神淡路大震災を受けて2001年にDMAT(災害派遣医療チーム)構想が生まれました。2010年にDMAT事務局が誕生し、その翌年2011年に東日本大震災が起きます。現場でのフィードバックを得、必要になる薬をどの程度災害時のために地域で備蓄し、供給するか、ロジスティクスについては2014年に研修が開始されました。2016年に熊本地震が起きます。その後EMIS、広域災害救急医療情報システムが整備され、運用されています。今回の能登半島を震源とする地震でもその規模を把握して、同時に他所で災害が起きることも想定しつつ派遣規模が決められます。

実際に災害が起きると最初はDMAT、これと同時にDPAT(災害派遣精神医療チーム)先遣隊が動きます。48時間以内に準備開始するのがJMAT(日本医師会災害医療チーム)で、DPATも動きます。AMAT(全日本病院医療支援班)も協力します。そのほか日赤、国立病院機構、などなどがあります。

現在一般的になっている院外処方システムが災害にどの程度強固に対応できるか、も重要ですが今後の課題です。電子処方システムはこれらを最適化する第一歩にならないか、と期待しているのですが。日本災害医学会は1995年、阪神淡路を受けて設立された学会です。彼らが公開している必須医薬品リストを示します。

災害時超急性期における必須医薬品リスト|一般社団法人 日本災害医学会

ざっと眺めると「緊急性があるとはどういうことか」が理解しやすいです。

  • 痙攣
  • 鎮痛
  • 麻酔
  • 心不全
  • 高血圧
  • 狭心症
  • 喘息
  • 高血糖
  • 血栓症
  • アレルギー
  • 感染
  • 緊急ではないが頻度が高いと思われる胃腸薬と感冒薬

JMAT携行医薬品リスト

これは日本医師会が作ったリストで、超急性期から少し経過した場合に必要になるだろう薬のリストです。

JMAT携行医薬品リストについて|JMAT携行医薬品リスト|東日本大震災に関連する情報|医師のみなさまへ|日本医師会

  • 帯状疱疹
  • 精神科領域の薬
  • 妊婦への緊急対応

あたりが目につきました。他は少し広めのリストになっています。今は使わないなあという薬も含まれますが。

普段の処方でも、緊急時を意識する

こういう考えをしていると、基幹病院の先生方のように、エンレストエンレストエンレストと気軽に使うのは躊躇われるのです。

専門家こそ、本当に必要な患者以外には一般的な手に入りやすい薬を選ぶべきです。例えば当院は消化器ですが、いきなりタケキャブは使わない。ランソプラゾールはPM群という人々にはすごく効きコストベネフィットが良いのでそれで十分な場合が多いですが通常は副作用が少ない別のPPIを使います。なんなら萎縮があればH2RAであるファモチジンで十分です。ところが実際には猫も杓子もジェネリックがない薬を使いたがる(例:必要のない患者にタケキャブを処方している医師が多い)という現代の風潮が個人的には気に入りません。

手元にあるものでなんとかする

急性期に必要になる薬、というのは今まで述べた様にある程度決まっていますが、いつも潤沢にあるとは限りません。むしろ全然潤沢ではない。災害時には手に入るもので柔軟に対応できるようにすればもっと強固です。医薬品分配の最適化のような難しい問題は人工知能の独壇場だと思うのですが、おそらく今の所は現場の先生方の高度な能力でなんとかしているのだろうと想像します。

個人レベルでも出来る事がないか

  1. 常備薬を準備する

    現代では家庭に常備薬がない、という人々がかなり多いです。余裕がないから、と片付けて良いのかわかりません。この常備薬の整備には極めて高度な知識が必要なのに、その選定に何も報酬がないために誰もやろうとしない、が現実なのだろうと思います。

    一般的な常備薬セットですが、日本と海外では違います。海外のほうが実践的だなと思うので、英語で検索したものを提示します。

    • 経口補水塩:脱水の治療に使います。これは海外では欧米ほぼすべてのリストに入っていますが、日本のリストにはありません。極めて重要なのに。もちろん砂糖と塩と秤があれば自分で作る事ができます。砂糖40g(上白糖大さじ4と1/2杯)と食塩3g(小さじ1/2杯)を湯冷まし1リットルによく溶かし、かき混ぜて飲みやすい温度にする。 果汁(レモンやグレープフルーツ)を入れると飲みやすいです。こういう知識がないと「OS-1が高い」みたいな言動に結びついてしまいます。電話でこの作り方を説明しても理解できない方がとても多いです。ポカリスエットや果汁では濃すぎる、という事を知っている方も少ない。
    • 鎮痛解熱薬:日本では単剤を探す事が難しいのが、社会的に未成熟であるという証左であり、悲しみを感じますが、アセトアミノフェン、イブプロフェンをもっと安価に手に入れられる様にすべきです。(日本でも通販では安価に手に入れられます)アセトアミノフェンとイブプロフェンは作用機序が異なり、使い分けもします。ロキソプロフェンは世界的には標準的ではないので、自分は第一選択とはしていません。アスピリンの使用には注意が必要なので、通常はリストに入れません。湿布やクリームなど外用薬も用意しておくと良いです。
    • 抗アレルギー薬:フェキソフェナジン、ロラタジンなど眠くならないタイプは基礎疾患のために使えない患者さんが少ないのでリストに入っている事が多いです。自分の体質で使って良いもの(この議論を拒否する患者さんは多いです)を予め用意します。外用薬も用意します。
    • 制酸薬:日本よりも胃酸が多く出る人々が多いので真っ先に出てきますね。中和するタイプの薬から、胃酸分泌を抑制する薬まであります。何か用意しておくと便利です。胃痛、胸焼け、吐き気、などに使います。
    • 下痢止め・消化剤・整腸剤:何かあると良いですよね。
    • 便秘のときの薬:浣腸は必ずあったほうが良い。
    • 消毒薬:必ずあったほうが良いです。
    • 温度計:救急箱の中では一番使うと思います。
    • 外傷のときの絆創膏とか包帯、ステリストリップなどなど、国によっては「石膏」なんて書いてあってマジかよ状態。
    • そのほか:口内炎の薬、痔の薬、ステロイドの軟膏、吐き気止め、酔い止め、アイスパック、保湿クリーム、日焼け止め、生理食塩水の鼻スプレー。
    • 日本以外は「総合感冒薬」はリスト内にありません:咳止めがコデインだったりして中毒性がある、第一世代抗ヒスタミン薬が多くの人に使いにくい、からだと思います。
    • では咳はどうするか:リストにはないけれど薬局にいけばコデインなど咳止めはあります。海外にも生薬の咳止めはありますし乳児以外ハチミツは一般的。日本でも生薬の咳止めはあるんですが、粉はかさばるから非常用備蓄として使いにくい。咳止めは濃縮した液体が便利なのでは?と思います。
  2. 処方の残薬を予測して次の外来を予約する。

    「薬が(完全に)なくなったので来院」というパターンの方がおられますが、問題があります。危機に脆弱なのです。定期的に服用している薬ならば1ヶ月以上前から予測がつくはずですし、その予測が狂う様な思わぬ変化が生じたのであれば、即座に報告しておけば、手間はぎりぎりに対応する場合よりも少なくて済みます。

    薬の残薬から次の外来をいつにしたら最適かの計算はそれこそAIがすべき分野ではないかなと思います。自分が行う場合が多いわけですが、1ヶ月前2ヶ月前行ったはずの計算に早くも次の外来で狂いが生じ(患者さんの薬の飲み方が一定でないから)、毎回外来でそれを行わざるを得ない事が非常に自分を疲弊させている現実に気づきます。(残薬の整理はせいぜい半年に1度以下にして欲しいと、今文章を書いていて気づきましたので次回からそのようにします)

体温が低いとはどういうことか

人間の体温測定は一般的に脇の下で行われますが、これは表面温度を計測したものです。自らを「体温が低い」と表現する人々は、しばしばこの表面温度に基づいてその結論を下しています。しかし、本当の体温は深部体温の事です。彼らは本当に体温が低いのでしょうか?

比較的重症の患者さんは膀胱にカテーテルを挿入します。このカテーテルに温度計がついているタイプのものがあり、ICUでは患者の体温をリアルタイムで測定しています。そこで気づいたのですが、脇の下で測定する体温は深部体温よりも結構低いのですね。

また、自称「体温が低い」人たちの診察をしていると、確かに皮膚の表面温度が低い印象なのですが、特に脇の下が乾燥している人がほとんどだなと気づきました。体温計のほとんどは予測式ですので、皮膚から温度計への温度伝導率が高いかどうかが非常に重要です。脇の下がカサカサでは、温度は上がるまい、と推測できませんか。

人間の体温って、そんなに人により変わりはありません。腋窩温は標準偏差が0.35度なのですが、直腸温では0.2度とされます。

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腋窩温は高齢者では50歳以前と比較して0.2度ほど下がるようですが、標準偏差は大きくなるようでしかもヒストグラムが明らかに低いほうに広がっているのはやっぱり皮膚の乾燥なんじゃねーの?と疑いたくなる結果です。

「温度が1度下がると免疫力は20%低下」みたいな、試験管で白血球を観察して得た雑な実験結果を人間に適用するのはやめてほしいですし、そもそも深部体温で測定すれば0.4度以上平均よりも体温が低い人自体が少ないはずで、腋窩で測定して35度ちょっとみたいな値の場合にはそれは皮膚の乾燥などの問題なのではないか?というのが自分なりの結論です。

一方本当の低体温症を自分は診察した事があります。ボートで漂流した中学生が当直中の三浦市民病院に運ばれてきちゃったわけですが、体温が34度いかないぐらいでしたけれど意識はないし不整脈は出ているし本当に死にそうで大変でした。なんとか初療だけして三次救急に送りましたが。「34度ぐらい」と自己申告する方を見るたびに「それはない」と思って聞いています。

ベルクソンの「笑い」

アンリ・ベルクソンは1927年にノーベル文学賞を受賞した哲学者です。彼の文章は「散文として素敵だなー」と感じる人が多いわけですが、実際の彼は級友たちが声を揃えて「人間ではない」と言うほどに反カント的だったと言います。彼の時代、「人間的」とはカントのように実証的だったり論理的だったりすることだった様で。むしろ現代は人間は直感的だし感性で動くものだ、みたいなのが常識になっている気がしますが、そういう流れを作った人、なのかもしれないですね。1920年代、という時代的にそんな気がする。その彼が「笑い」に関する論文を書いたのは納得できる話です。九鬼周造もベルクソンに会いに行ってます。

日本のお笑いには弱いものいじめ要素が多い、という趣旨の文章をネットで読んだのがベルクソンの「笑い」を読んだきっかけです。古い本ですから、当時の喜劇を分析してその「笑い」について議論したものです。私が読んだものは2016年と比較的新しい翻訳のため、解説が充実しておりありがたかったです。

笑い (光文社古典新訳文庫)

青空文庫には岸田國士の「笑について」(1954)があり、こちらにもベルクソンへの言及があります。言いたいことはわかりますが、笑いの多様性を彼なりに捉え分類した、という話で、それ以上の内容はありません。

笑について

その点、ベルクソンの笑いの性質の定義は時代を超えて普遍的であると感じます。彼は笑いの場に存在する特徴に注意してほしい、と言うのです。すなわち、①人間的であること、 ②心を動かされないこと、 ③他人との接触が維持されていること、です。自分が納得したのは特に②です。笑っている人の心は動いていない、という事。

朗らかな笑いも、人を馬鹿にするような嘲笑も、とりあえず心は動いてはいないという点では共通しています。心がグラグラしている人や、共感力が高い人が笑っている状況を想像する事は難しいです。

まだ読んでいないのですが飯沢匡さんの喜劇を勧められました。飯沢匡さんは劇作家で「ヤン坊ニン坊トン坊」(1954)以来黒柳徹子さんのお師匠に相当する由。「窓際のトットちゃん」(1981)の挿絵にいわさきちひろさんの絵が使われているのは飯沢さんが1977年からいわさきちひろ絵本美術館(現・ちひろ美術館・東京)初代館長をされていた事と無関係ではないでしょう。

「反権力的な笑い」というものは確かに存在します。普通権力者は我々をコントロールするためあの手この手を使ってきます。しかし我々の心が不動であったらどうでしょうか。心から笑っている人々の心を動かすことは容易ではありません。笑いは強いプロテストの力を持っています。「武器としての笑い」という本があり注文しましたので読んでみます。

笑いに関して理解が深まった正月でした。

テクノロジーは不公平を是正するものであるのに、格差の拡大に繋がっているのが惜しい

転校する時に、あるいは受験のときに、果たして成績はどう書かれるのかとても興味がありませんか。もしも通知表と同様に相対評価のまま書かれていたら、それは真の評価と言えるのでしょうか?母集団が均質ではないわけだから。 そんな事を思っていた自分ですが、たまたま成績表を見る機会があって、学内用のと学外用のでは評価が違った気がします。それを見てなんとなく安心した記憶があるのです。 日経新聞が2020年12月15日にマイナンバーと学校の記録を紐付けする、と記事にしました。

マイナンバーで学習管理 教育ビッグデータ活用へ

中身は学校の成績をマイナンバーで管理すると、入学テストだけでは評価し得ない細かなケアが可能になることや、海外ではすでに20年〜50年前から行われているという内容です。

ところが、「私の成績が誰かに公開されてしまう、もちろんそれは第三者が自由に使うことができる」と勘違いした記者がいたようです。

某社(FNNじゃなかったかと思うのですが、その後サイトが消されてしまっていたので、記憶が定かではありません)が教育評論家や財界人のコメント(差別にならないかとか、経団連はそれを採用に利用したいとか)を記載したのが12月16日で、それをTwitter(現X)でインフルエンサーが話題にし、「おかしな話じゃん」とTwitter民(脳では考えていない人々)が脊髄反射したのがまたニュースになったり炎上したのです。ただ、それは全く根拠のない議論でしたから、まずいと思ったのでしょう、某社はこっそり記事を消すという事態になりました。日経は俺は知らんがな、と記事は消しておりません。

変な人々(評論家とか財界)に取材して記事にした某社が悪いわけで、本来の意味がどっかに行ってしまいました。批判的思考をしたいならば、まともな教養のある人々に取材したらいいのです。さすれば子どもたちの利便を考えればその通りだが、義務教育とそうでない教育ではどう扱うか、塾の存在をどう考えるか、オプトアウトは許されるか、国際的な協調は、など様々な議論があったでしょうに。もともとの政府の考えは理解できます。差別の逆なので。日経の記事にはデンマーク、オランダ、タイ、シンガポール、スウェーデン、英国、米国の事例は書いてありました。

エストニアの事は書いてないのでちょっと調べてみると、2005年から成績の詳細を記録していて、それは教育の不公平の是正の研究に使われる予定、と書いてあります。受けた教育の不公平を判断、成績をつける人の能力不足、もちろん収入や健康とも結びつけてだろうけれど、すべて将来は解析可能だろうとして地道にデータを蓄えている段階らしいです。単純に成績を競わせるというような事はしておらず、コンセプトがさすがだなと思います。

教育データをどう活用するのか、という事については違う事例があります。中国にVIPKidという会社があり、これは中国の子どもの英語学習をオンラインで行うという目的で当初設立されましたが、オンライン学習の様子をすべて録画、教師や子供の表情、発音の上達の様子などを1000万レッスンほど、スタンフォード、Microsoftなどの協力も得て機械学習の教師モデルとして蓄えたそう。この教師モデルを活用して出来上がったAIは、実際に教育効果がすごくあるんだ、ということがWIRED vol.39に書いてあります。

WIRED(ワイアード)VOL.39(12月14日発売)

日本で政策がその後どうなっているかを検索してみます。

現状では番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)により個人番号の使用が規定されます。毎年行われる通常国会等で、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案」が提出される必要があるわけですが、今のところ教育関連では動きがありません。

では現在どのレベルか。「教育現場で1人1台の端末を」が2023年には盛んに言われていました。この方針ですと、端末1台の中に個人番号を暗号化して入れることは可能ですから、マイナンバー利用が可能になる可能性は高いです。(資料にはその記載はないですが、考えていないとすればアホとしか思えない、やや不安)

しかしたった1年でかなりの端末が壊れる現状がありますよね?(徳島市で大量のタブレットが故障した一件など)子供たちは使い方が荒っぽいですし。これらの問題について内閣官房の資料を見ると以下の通りでした。

  1. 指導者用端末が圧倒的に少なかった(え?):令和6年へ改善へ
  2. 十分な予備機がない(え?):令和10年に改善へ
  3. 無線LANが遅い(え?):令和6年までに現状把握
  4. 他の校務作業がまだ紙:令和8年までに改善へ
  5. ICTを教える側の人材不足:令和10年前に改善へ

こういう問題があるようです。門外漢だからわかりませんが、ビジネスではBtoBが先にデジタル化されたほうが効率は上がるのではと考えます。ところが教育分野ではBtoB(教師や教育委員会やその他ののやりとり)はまだ紙主体らしく、先にBtoCをデジタル化しようとしてもなかなか難しかった、とわかる。

これは医療分野で、いつまでも紙の書類を使う医師がいたり、物流が紙に依存したままでそのままにしてある、という部分がネックになっている事と似ています。非営利というのは非常に非効率的なんです。医療分野はオンライン資格確認や紙の保険証廃止というショック療法でなんとかしようとしていますね。個人的にはデジタル化が進んだ方が良いと思う立場ですので、異存はありません。

仮にすべてがデジタル化されれば明るい将来が期待できます。機械学習が行われた自律型機械ないしソフトウェアは、平均的な人よりも優れていて人間の代替をさせる事が可能ですから、不公平の是正に使うことができます。

一方教師はAIで育てることが難しい好奇心(curiosity)、批判的思考(critical thinking)、創造性(creativity)という「3つのC」を伸ばすことに注力できるとWIREDに書いてあります。

「マイナンバーと成績を紐付け」からの炎上を見ても、その意味を理解できている人は少ない、というか、意図的に邪魔をしたい人がマスコミ他に多数いるんじゃないかと思いたくなります。エストニアがそうであるように、電子化は国家存亡の危機に際しての対抗策の一つです。オンライン資格確認がすでにはじまり、マイナンバーと検診結果、お薬手帳の紐付けだけでもすでに弱者を救える仕組みだという事は明らかです。医療スタッフや患者さんがそれを理解してくれるとありがたい。医療以外の分野であっても共通部分があるんじゃないかと少し調べて感想を述べた次第。

「不公平の是正」はICTに課せられた重要な使命です。しかしICTは効率を最大化する一方監視がしにくく、富の偏在が著しくなっているのも事実です。これは非常に残念な一面です。

マイナンバーカードは、患者さんから注意深く聞き出す病歴以上の情報収集も可能であり医療を効率化できます。その余裕を他の多くの患者さんを割り当てられるはず。自分のためにもなるし、他人のためにもなるのがマイナンバー受付の真価です、という事を主張しておきたいと思います。

(もちろん他の手段で効率的に私に医療情報を渡して下さるスキルがある方については、マイナンバーカードを使わなくても構わないとは思っています。APIとかJSON、XML程度はわかり、使いこなして下さる人)

子供と暗示療法

子供にイボが出来た時に「イボがなくなるよう神社にお参りしましょうね」と言うと本当にイボが治ってしまう事があり、暗示療法の一種です。

鵜川医院に来たらついでに比比多神社にお参りしてお帰りください、と申し上げるのも暗示療法の一種です。

さてたまたま暗示療法の効果を明らかにしてしまった論文がありました。

Treatment guesses in the Treatment for Adolescents with Depression Study: Accuracy, unblinding and influence on outcomes - Jon Jureidini, Joanna Moncrieff, Julie Klau, Natalie Aboustate, Melissa Raven, 2023

この論文では、プロザックといううつ病のお薬を飲まなかった子供もプラセボ効果でうつ病が改善した事を報告しています。たまたまですが、これが掲載された雑誌の名前がANZJPでした。「暗示JP」みたいな語呂合わせで面白いですね。

インフルエンザと新型コロナウイルス感染症

子供は落ち着いてきたようですが、まだ流行しています。コロナも増加傾向です。

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