#鵜川医院レター #DX #食

インフルエンザ流行中 / 夜に見る方の夢 / 重症度の基準値 / マイナンバーカードの利点 / 手術前の準備 / 痛みスケール / ワサビといろいろ

目次

インフルエンザ流行中

昔も今も医者は強突張り(ごうつくばり)な職業だと思われていたようで、「柿が赤くなると医者が青くなる」という言葉があります。この季節は病気が少なく、患者が減って医者の収入が減り青くなるという意味です。ところが今年はインフルエンザが流行して大変です。

Untitled

Untitled

小学生を中心にインフルエンザが流行しています。夏休み明けからすぐにです。ピークを打ったようにも見えるのですが小児科の先生によれば「これから」とのこと。

実際インフルエンザレベルマップを見ると、まだ「序の口」状態です……。

当院では10月中にワクチンを打って下さいとお願いしていましたが、平塚・厚木は定期接種が10月16日~と決められていて「まじかよ」状態でした。平塚市医師会、厚木市医師会頑張れ。

当院感染症外来をしておらず「つかえねー」状態になっております。ご容赦下さい。

毎日畑の面倒を見ている御婦人がいて、たまたま秋の雨上がりの日にお会いしたのです。「今日は雨上がりですね。畑はお休みですか?」と声をかけました。彼女は微笑んで「今日はお休み」と答えました。話題は畑の作物へと移り、里芋を少し作っていると伺いました。「里芋の耕作は大変ですよね」と僕が尋ねると、息子さんが手伝ってくれるから自分は草むしりぐらいで、と仰る。なんとなく話の流れで里芋を医院に持ってきてくださりそうな雰囲気になってきたので、すでにたくさんの里芋があることを伝えて遠慮しました。

その後「眠れない日はあるのですか?」と考えなしに聞いた質問に、彼女は「よく亡くなった夫が夢に出てくる」と答えました。そして彼女の夢の中の夫は、老いた姿ではなく、若かりし頃のスーツを着た姿で彼女を訪ねてくるのだそうです。顔がこう違うだとか、体格がこう違うだとか、僕は夫君は存じているのですが若い頃はもちろん知らない。どんなに素敵だったかを伝えようと一生懸命話してくれます。彼女の言葉からは、夫への深い愛情が感じ取れました。

彼女との会話は続き、夫だけでなく色々な人が登場することを知りました。「最近は人との接触が少ないから、夢で夫や昔のクラスメートに会えるのは嬉しい」と彼女は言いました。90前後の年齢になると同世代との会話はとても貴重でしょう。長生きすればするほど実質的には無理になりますよね。耳も不自由になったりしますし。夢は、過去の美しい記憶や懐かしい人々との再会を可能にするのだなあと思いながら聞いていました。

そういえば父も「年を取ると夢と現実の境界が曖昧になる」と言っていました。少し熱が出たりお薬を使ったりするだけで色々な不思議な事が聞こえたり見えたりするのだそうで、おとぎの世界のようであるそうです。しばしこれが幻視や幻聴だとはわからず、そして現実に戻ってくると、それが空想の世界だとわかるようで、思い出しながら楽しそうに話してくれました。

さらに興味深いことに御婦人は「夢を見る時は、しっかりと眠れているの」と笑顔で話します。なんとレム睡眠(夢を見ているときの睡眠のフェーズ)は浅い睡眠だとの自分の理解を覆す発言です。しかししかし彼女の感想は真実なのかもしれません。

御婦人に限らず家族が亡くなったご老人の目に、色々な人、例えば部屋の隅に子供が見えるというエピソードは何度も伺ったことがあります。共通するのは、それは驚きや悲しみの象徴ではなさそうだ、という事です。

外来で「夢を見ますか?」という質問を自分はよくするのですが、無味乾燥な答えが多い中時々この御婦人のようなエピソードを聞くことができる。それは外来の醍醐味です。ユング派の心理学者達は夢をネガティブには捉えません。夢はとても重要な自分を知る手段であると考えています。内容がネガティブに感じても、捉え方によっては良い影響を与える場合もあります。もしも聞いてもらいたい夢があったら、誰かに話してみると良いでしょう。

良い機会なので黒澤明の「夢」を見ようかなと思います。「夢」は、8つの短編から成るアンソロジー映画で、黒澤自身の夢を元にしたエピソードが描かれています。映画全体を通して、現実と幻想、生と死、自然と人間の関係などのテーマが浮かび上がってきます。各エピソードは、黒澤の人生の異なる時期や、彼が関心を持っていたテーマに基づいています。

父が高齢で感じた現実と幻想の曖昧さは幼児期にも顕著なのかもしれません。黒澤は自分が子供のころに見た夢を映画に取り入れており、やはり特別な五感と記憶力の持ち主なのでしょう。彼の「夢」による内面の探求は、ある程度の人生を生きた我々には参考になり共感する部分があるかもしれません。若い方は映像編集のテクニック以外には特に感じるものはないかもしれませんが。

たとえば、映画中のエピソード「桃太郎の村」では、黒澤が子どもの頃に夢見た戦争の美化とその現実を対比させています。また、「黒澤明」という名前の画家が登場するエピソード「カラス」では、芸術家としての彼自身との対話を感じさせるシーンがあります。

夢をみなさん忘れてしまうと仰るのですが、1ヶ月ほどトレーニングし続けると、河合隼雄が100%できるという通り、夢は覚えていることは可能です。私自身も確かめました。

総じて「夢」はその人の見えない内面や、人生の投影と言っても良いでしょう。そしてユングや河合隼雄はそれを振り返ることで成長できると主張しました。自分では夢の解釈をしないのが基本的な約束ですよ。必ずプロにしてもらうこと。

こんな話を書きながら、浅い睡眠や深い睡眠の定義は何か、機械や脳波が数字で出してきたものと自覚とが一致するにはどうしたら良いのか。自分の理解はまだまだ浅いように感じています。個人的にはあまり得意でない分野ですので時間はかかりそうですが、継続して考えているテーマの一つです。

Criteria of clinical stability

先日、朝8時に医院の緊急用の携帯電話に連絡がありました。「もしもし?」という声のトーンで当院の患者さんではないとわかったので、「緊急のご用件ですか?」と聞きますと「緊急です」と仰る。どのくらい緊急なのだろう。急性胃腸炎だそうです。8時か……と思いました。当院は癌と自己免疫疾患の患者さんが多く、感染症分離の原則から申し訳ないが拝見できない。診ていただける可能性があるとしたら、こことこことこことここ、と答えました。「伊勢原協同病院はだめですか」と仰いましたので「おそらく今は引き継ぎで難しいだろう」と答えたところ、「実は今電話したところ他の医療機関へ」と言われたばかりだ、と仰いました。緊急電話は当院受診中の患者さんが息が止まっているがどうしたら良いか、レベルの連絡用でありお役に立てずすみませんと言いました。その後どうなったかはわかりません。自分のアドバイスが多少役立てば良いのですが。通常の治療は整腸剤と少しずつの経口補水液であり、重症度が上がれば点滴になるでしょう。

さて、電話を受けるたびいつも思う事なのですが我々はこういう情報を大切にしています。例を挙げましょう。

  1. 体温>37.9°C
  2. 脈拍>100/分
  3. 呼吸数>24/分
  4. 収縮期血圧<90mmHg
  5. SaO2<90%
  6. 飲めているか
  7. 正常な意識レベルか

これは肺炎において抗生物質をいつ終了するかを検討した論文(JAMA Intern Med. 2016;176(9):1257-1265. doi:10.1001/jamainternmed.2016.3633)からの抜き書きですが、本当はこうしたバイタルサインが問い合わせ時にもれなくほしい。これに加えて「どのくらい痛いのか」「腹膜刺激症状があるか」「出血があるのか」「下痢や嘔吐」などの情報も必要です。

かながわ小児救急ダイヤル #8000では、ぐったりとか、機嫌が悪いとか、丁寧にオペレーターが聞いてくれるだろうと思います。小児救急ダイヤルが機能するのは、電話するのが少なくとも他人をケアする覚悟を持った大人であるという前提があるからです。

小児以外の個人でも効率的にトリアージを行うことは重要ですが、それが上手く行われていないのは、人間が自分をケアするトレーニングを受けていないからです。駅前に存在する医療機関の口コミの低評価には、医者の文句以外のことがあまりにも多い事からも明らかです。自分はこうしてほしい、が医療の必要性とずれてしまい、マッチングが上手く行っていないのです。

「バイタルサインは、急性疾患の場合に問い合わせの段階で自動的に収集できないとまずい、教育はしても全員は無理」という事は明らかですから、スマートウォッチはそれらを収集できるように進化しているのです。お薬手帳の成功の延長線上にマイナンバーカードやスマホがあります。これらを使う事は診断エラーを予防してくれる。

高齢者にこそマイナンバーカード、スマホがないと2025年問題は越えられない、が持論です。行政もそのように動いてますが、スマートウォッチも必須かもしれない。高齢化社会で人間の手間を減らしつつ精度を上げる命綱と考えているのですが、なかなか理解されません。困りました。とはいえ、今後の自分の仕事の比重は、臨床よりはこういうシステム開発寄りになるとは思います。それが得意分野ですから。

マイナンバーカードの利点

今回私は入院したのですが、3割負担で40−50万円かかると予想され限度額以上になることはわかっていました。医療機関等の窓口でのお支払いが高額な負担となる場合『限度額適用認定申請書』を役所に事前に申請することにより、窓口での支払を自己負担限度額にとどめることができますが面倒です。しかしマイナ受付をすればその面倒な手続きが要らないことを知っていた私はスイスイ。ご請求額がちゃんと限度額となっており、ずいぶんと得をした気分になって退院をしました。皆さんも自分は病気にならない、などと決めつけずにマイナンバーカードを利用して欲しいです。

みたいな話を同業者にしても、マイナンバーカード否定派のお医者さんも結構いるからなかなかスムーズには行きません。以下にマイナ受付の利点を列挙します。

利点

  1. 初診の方、自分の名前などの記入が不要になり、しかも早いです。必要なのは電話番号だけ。でも書かせる医療機関多いですよね、当院もそうだとしたら残念。
  2. 少なくとも2021年からの薬歴が正確にわかり、患者の病歴理解に極めて有効である。薬歴に関してはそもそも見ている医者が少ないという説があるけど。
  3. 入院した翌月の8日を過ぎるとどのような入院生活を送ったかが手に取るようにわかる。合併症もわかる。それは当然入院後の指導に役立つ。少なくとも自分にとってはすごい宝の山。
  4. 限度額区分がすぐにわかるので、高額な薬を使った場合に得をする。入院して手術など受けた場合は、限度額区分がわかっているととても得をする。これは僕が実感したやつ。
  5. 特定健診の3年分の内容がわかる。身長体重が3年分わかるだけでもとても有効な医療情報。
  6. 保険証が変わったばかりで新保険証がないというときに、マイナンバーだと医療機関で四の五の言われず不安がない。ただしこれについては、システム上、上手く動かない事がまだあって信頼しきれない。それでも改善されると思うので将来へ期待。

欠点

  1. 複数枚発行すりゃいいのになんで1枚なんだ?なくしたらどーすんだ。暗証番号間違えてロックされたことが2回もあります。
  2. Androidに載せられるマイナンバーカードは上記の弱点をカバーするけれど、医療機関側で対応できないのが問題。対応中とはされているけれど。
  3. システム障害が起きた時の代替手段があまりにも貧弱。
  4. カードデザインが悪い。バッドデザインにわざとしたという可能性は当然あるけど。次回改善されるとのこと。
  5. 発行がスピーディじゃないところ。新生児とか、外国から来た人とか。
  6. 医療機関側がメリットを理解して活用していないところ。
  7. 現状実印が必要な手続きはすべてマイナ化してほしいが、それが遅々として進まないところ。(マイナンバーカードで実印証明をコンビニで出す、みたいな矛盾がw)
  8. 保護-被保護関係の証明がマイナンバーカードで行えないこと。(ご自分で色々判断できない方が多数おられ、その場合マイナンバーカードが形骸化してしまう)
  9. 本来は受診前のトリアージに使えるのに現時点では役立たないこと。

欠点はすべていずれ解決されそうなので、個人的には本人認証を電子化するのは必須の流れと思っています。この次の段階は生体認証なのですが、指紋にしろ虹彩にしろ欠損がある方も多いので意外とハードルが高い。現状は電子署名を標準化することが大切ではないかと考えています。

PET-CTという検査

私が医学部5年か6年の頃(1990年前後)、横浜市金沢区福浦に建設中だった横浜市立大学付属病院(1991年5月開院)には「日本で初めてPET(positron emission tomography)が導入されるんだ」と放射線科の教授が嬉しそうに話しておられ、その原理について詳しく授業で習いました。ところが収賄で教授が逮捕されてPETの話は無くなったのです。お金にクリーン(お礼を受け取らない)で人格も優れている(生徒にも患者にも優しい)と評判の方だったので驚きました。嵌められた説もありました。

ずいぶんドラマチックな展開がほんの数行になってしまい申し訳ありません。すなわち福浦の病院の地下にはサイクロトロンが2台入るスペースが確保されており、使われないままその役目を終えます。物悲しいですが。その後日本最初のPET施設は山中湖にバブルが崩壊した1994年稼働し、2002年に保健適応になってから爆発的に普及をしました。

当初自前のサイクロトロン(同位元素を作る加速器)を持つ必要があり、5億10億という設備投資が必要だったと思うのですが、2000年ごろにはサイクロトロン施設からバイク便で¹⁸F-FDGを急送するシステムが出来、検出機だけあれば検査ができるようになりました。

2005年に開院したがん研有明病院のそばにサイクロトロン施設がありましたので、有明のドックにはPETが導入されました。200-400MBqの¹⁸F-FDGの価格は原価がだいたい4万円ちょいだった(1日20バイアル作れば5年で減価償却が可能な程度の値段です)と記憶しています。人件費、検出機器の減価償却などを考えますと10万円前後が妥当な価格帯となります。保険では8625点、つまり86250円です。さて、がん研で使い始めてみたらPET単独というのはどうも画像が貧弱で使い物になりません。翌年にはPETを廃棄してPET-CTにアップグレードしました。たった1年で1億ぐらいを廃棄したわけですが、この判断は正しいと思います。PET-CTは、普通のCT検査も併用することで病変の場所が正確に特定し易い特徴を持っています。

自分もずいぶん有明病院で写真を読みましたから、PET-CTにも得意不得意があって万能ではないことは十分わかっています。しかし悪性リンパ腫や肺がんに関しては抜群でした。自分が診断が不得意な唯一の?癌は肺がんですから、とても鵜川医院の診療とは親和性が高いと言えます。弱点を補ってくれる。被曝量は10-20mSvぐらいでしょう。(被曝量が確定しないのは、太っている方ほど多くなるからです)

被爆の事を考えると50歳未満の方には気軽に受けてとは言えませんが、診断に直結する所見が得られるという点で優れた検査と言えます。色々な「早期癌がわかる」という検査(あれとかこれとか、自分がわざわざ「これはいい」と言わないものすべて、「おもしろい」と表現する検査も大して凄いと思っていません)の結果を読むことに自分が難色を示しますが、それはたかだか「多少リスクが高いことを指摘できるだけ」なのに、それを「わかる」と表現することが気に入らないからです。そこから先全部僕の仕事になるから面白くない。その点PET-CTはほぼ最終診断に迫っており、精密検査を担う医師の負担が小さくて済むという特徴があります。

リーズナブルなPET-CTを探す

MRSO.jpというサイトが便利ですけれど、

人間ドックのマーソ | 国内最大級の人間ドック・健診施設を比較&予約サイト

Untitled

こんな条件で調べていたら、たまたま「夏休み限定55,000円」なる検査があったので、即申込みをしたわけです。¹⁸F-FDGはある程度の分量を定期的に必ず購入しなければならない契約なんだろうと思われ、検査が埋まっておらず赤字が出そうになったときに安い検査が登場するのかもしれません。

東京でも同じ条件で探すとやはりお得なのが見つかります。僕は茅ヶ崎で受けました。あんまり覚えてないですが、若い頃にこの病院で当直をしたかもしれない、あの頃は老人病院だったはずだけれどビジネスモデルや建物が変わったようだ、そんなことを思いました。

50歳未満で、少し違う感じの検査を受けたい場合、PET-CTと同じく全身のリンパ節をチェックできるDWIBSがあります。東海大の高原太郎教授が開発したんですよ。

MRIを活用した新たながん診断法を開発医工学科・高原太郎教授:東海大学工学部

脂肪組織がとにかくMRIでは邪魔なので、拡散強調で脂肪成分を排除しようと努力していたところが最終的にリンパ節だけがくっきりと残ったというのが発見のきっかけだったらしいです。面白いですね。そして良性腫瘍、あるいは癌という組織は時々リンパ節と同様に細胞密度が濃いので、固形癌もある程度の大きさであれば写ってきます。そういう理屈を理解して受けてください。

手術前の準備

手術を受けるかどうか、という決心がつくかどうかがまず重要です。手術を受けたとしてその時のリスクが何か、メリットは、仕事はどうするか、周囲のサポートが期待できるか、お金はどうするか、メンタルのこと。同じ腫瘍でも部位と大きさによって全然条件が変わりますので、知識を総動員して考える必要はあります。言語化してみる事がおすすめです。

自分の場合はシンプルで、前縦隔腫瘍は取るという一択、あとはどこで、いつ、という事だけ考えれば良かった。

胆石の場合もう少し複雑です。症状から逆算して年間1~%の発作リスクを考慮しつつ緊急手術になったときの合併症リスクの上昇、病院が選べなくなることなどを加味して判断する必要が出てきます。それらについては実際に手術をお受けになる方の相談にのるときに説明します。

また手術の合併症は患者側の因子が大きいですから、条件を整える事がとても大切です。心臓手術の場合はSTSスコアというのがありますが、それに準じて考えますと自分が受ける手術の場合には、

  1. 貧血がないこと
  2. 腎機能が大丈夫なこと
  3. 肺に癒着がないこと
  4. 血栓リスクがないこと
  5. 易感染性がないこと
  6. 糖代謝や脂質代謝異常がないこと
  7. 呼吸機能が良いこと
  8. 肥満でないこと
  9. 麻酔のリスクが低いこと
  10. 酒を飲んでいないこと
  11. タバコを吸っていないこと

などが考えられました。自分は比較的良い条件で手術が受けられるだろうことはわかっていました。リスクスコアが高い場合、決心は非常に難しくなりますので十分に時間をかけて考慮すべきです。

自分の決断は簡単だったとはいえ、直前に感染症などかかると迷惑をかけますから、刺し身などの生ものは1ヶ月ほど避けましたし、脂質プロファイルを改善させるために揚げ物や遅い夕食は避けました。お陰でBCAAを飲んでいたにも関わらず手術時にいつもの体重(もともと太っていない)よりも2kg落ちており、予定よりも栄養状態が悪いという事になりました。唯一想定外だったことです。

お金については、むしろスパッと一週間ほど休んでしまえば休業補償のような保険金がもらえたようです。2日休むぐらいではもらえないらしい。そこまで頭は回りませんでしたが、休んでも患者の延べ人数はいつも同じなので、後で辛いだけだから普通に働くことにしました。ただし胸腺が無くなった今後細胞性免疫は落ちるので「やっぱ感染症診療無理です」という方向性に行くかなーとは思います。

Health Consequences of Thymus Removal in Adults | NEJM

以上、手術前の準備としては、メンタル、身体、お金、時間、あたりのやり繰りがあったと思います。

痛みの表現の仕方

痛みはスケールで表すんですが、こんな感じです。

Untitled

手術後「痛みを10段階で表すとどの程度か教えて下さい」と言われましたが、痛みにはまあまあ強いと自負しており「3/10」と考えずに答えてしまいました。でも、とりあえず手術後の場合最初は「5/10」と言っておくべきだと思います。今回学んだことです。5/10をスタート地点とすれば、良くなった、痛くなったを表現するのに便利じゃないかなあと思うから。

自分は最初に「3/10」などと言ってしまい大失敗。3/10から2/10、3/10から4/10って割と大きな変化に感じてしまいます。結局ずっと「3/10」と申告する羽目に。つまらなかったです。手術後には痛みに波があるはずで、それが記録として残らないのは良くないのではないか。とりあえずはまあまあ痛いよね、ぐらいのときに「5/10」としておくのが良いのでは。それが今回感じた事です。どうせ相対的な指標なんです。

刺激、について

あの、東北大学川島隆太先生によれば、ワサビサプリメントが高齢者の認知症にポジティブに働くとのこと。

東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授監修 ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング

普通のワサビ爆食いじゃいかんのだろうか。6-MSITCなる物質だそうです。

自分はあんまりワサビを食べないので、本物ワサビの使い切り小さなパックを海老名サービスエリアで買ってくると相当期間保ちますのでそれで済ませています。(箱根湯本でも売ってます)チューブのより美味しいと思います。

Benefits of Wasabi Supplements with 6-MSITC (6-Methylsulfinyl Hexyl Isothiocyanate) on Memory Functioning in Healthy Adults Aged 60 Years and Older: Evidence from a Double-Blinded Randomized Controlled Trial

もともとショウガ、ニンニクなどのスパイスは高齢者の認知機能が改善するとされています。大建中湯を飲んでいる皆さん、おめでとうございます。

過去の研究ではストループテストの実行機能の改善、慢性疲労症候群のトレイル作成テストA処理速度の大幅な改善が報告だれています。またブレインフォグも改善されるそうです。鼻つーーーーーんが直接脳に効くとか?

6-MSITCに構造似ているのがスルフォラファンだそうです。ブロッコリーで宣伝してるやつか。

研究によれば、わさびサプリメント(提供は名古屋の会社、金印わさび)を就寝前に服用したグループは、処理速度、執行機能、推論、短期記憶、視覚空間パフォーマンスには変化がなかったものの、ワーキングメモリとエピソード記憶には差が認められました。

嚥下機能の低下があるときに、スパイスが明らかに機能を改善するので、こしょうや唐辛子を少しだけ使ってみてはどうかと指導する場合があるのですが、そもそも「私はスパイスはだめで」と仰る方が多くてあかん。刺激を避けるライフスタイルは少し人生が脆弱になるのかなどとも思う。刺激は「ある/ない」ではなく、もっとアナログ的なものです。「気づかない程度の刺激」のような発想がとても大切なんです。それに気づいていただけないだろうか。

僕自身、辛いものがそんなに得意ではありませんが、某辛いもの大好きな友人が外来100人をこなすのを見ていますと、がんばって食べなきゃいかんかもしれないなと思う研究ではあります。