シャンパンの泡の秘密
シャンパンの泡が美しく、そして美味しく感じられるのは、ワインに含まれる「石けんのような物質」によるものです。
炭酸飲料はすべて同じように泡立つわけではありません。炭酸水は花火のようにグラス全体でパチパチと泡が広がります。ビールは泡が一列に昇ったり、あるいは広がったり、ランダムに見えます。
一方、シャンパンは上品な泡立ちをします。シャンパンの泡はまるで見えない工場が底の方からコンベアベルトで運ばれているかのように、きれいな直線で上昇していきます。
なぜシャンパンの泡は心地よく上昇していくのでしょう?
物理学者たちは、フランスのシャンパンやイタリアのプロセッコなどのスパークリングワインには「界面活性剤」と呼ばれる石けんのような性質の物質が含まれていることを突き止めました。
Presence of surfactants controls the stability of bubble chains in carbonated drinks
それが脂肪酸です。
実際この物質がシャンパンをおいしくしている理由の一部です。上質で美味しいワインほど美しい泡が長持ちすると言われますね。脂肪酸が銘柄ごとの個性的な風味を与えると同時に、泡を美しくするのです。
泡の科学は今までも研究が多く、気泡の量の推測、含まれているガスの測定、成分との関係性、香りを拡散させる役割などが議論されてきました。しかし泡の形態に関する、とくに一直線に立ち昇る形態についての研究はおそらく初めてです。
実験では、特殊な形状の注射器を使って、さまざまな液体とグラスに窒素の気泡を入れました。気泡の大きさや液体の成分を変えることで、複数の泡立ちのパターンが作られ、それらを観察しました。
ラガービールに界面活性剤を加えると、不安定だった泡は安定します。界面活性剤がない条件でも、ビールの泡を大きくすれば安定はします。しかし、水ではどれだけ泡を大きくしても安定はせず、いつも乱れた挙動を示します。
液体の密度、表面張力、粘度を変化させシミュレーションを行い、研究者は以下のように推測しています。
界面活性剤の濃度が低い水中を気泡が上昇するとき、一つの気泡の後続の気泡は同じ軸上では上昇しにくく、横方向に押しやられます。結果として泡の軌跡の分離が進んで、配置が放射状に拡散していくのです。
ところが界面活性剤の存在下では一直線に吸い上げられるように後続の気泡がついていくようになります。これがシャンパンの泡の秘密です。
シャンパンが泡立つ仕組みを解明することは、差し迫った科学的な問題ではないように思えるかもしれませんが、例えば深海の噴出孔や水処理施設など、さまざまな場面で応用できます。直接サンプルを採取することが難しいときに、泡の挙動を調べることで、水質を予測することが可能になるからです。
シャンパンの泡には、美しさだけでなく、科学的な意味があります。研究者たちは、「界面活性剤」と呼ばれる石けんのような物質が味のみならず泡の形態にも影響し泡を美しく長持ちさせることを示しました。
脂肪酸を添加した上品なビール、まだ完璧とは言えないノンアルコールスパークリング飲料、そうした製品への応用も期待されます。
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