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検査結果の解釈をする我々医師に基礎医学が必要なわけ

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検査が答えた問いと、本当に答えが必要だった問い

血液中のアミノ酸や脂肪酸のバランスからがんのリスクを推定する検査が増えています。ミネラルの偏りを調べるもの、線虫の反応を使うもの——仕組みはそれぞれ違いますが、技術としては面白い試みです。

問題は、結果を誰がどう解釈するか、です。

典型的な経過があります。「がんのリスクが高い数値が出ています」と告げられ、精密検査を受け、「がんは見つかりませんでした」で終わる。患者はひとまず安堵しますが、何かが解決したわけではありません。海外の大規模な調査でも、こうした検査の有効性に疑問符がついてきました。理由は、おそらくここにあります。

食事が偏らざるを得ない方がいます。高齢で食欲がない方、飲み込みが難しい方、病気の治療で食べられるものが限られている方。あるいは、アルコールやタバコを長年嗜んできた方、運動不足が続いている方、ホルモンの異常がある方、ほかの薬の影響を受けている方。こういった方々の血液中の栄養素バランスが乱れるのは、がんとはまったく関係のない、ごく当然のことです。生化学の基礎を知っていれば自明のことですが、「基礎は苦手」と公言する医師が少なくないのが現実で、それを患者に正しく説明できる人がそう多くいるとも思えません。結果として、食事や生活習慣の乱れが「がんのリスク」という言葉に置き換わって伝わります。

p53抗体という検査があります。細胞の増殖が活発な妊娠中に、この値が上がることは知られています。ただ、それ以前の問題として、妊婦にこの検査をすること自体が適切かどうか——という話でもあります。検査技術だけが先行して、それを使う判断が追いついていない。

こういった検査をきっかけに外来にいらっしゃる方が、たしかにいます。ありがたいことです。何かを心配して、自分から動いた、ということですから。

ただ、その心配の中身を少し丁寧に聞いていくと——タバコは何十年も続いていて、運動はほとんどしたことがなく、野菜は嫌いで、夜は毎晩飲んでいる、ということが珍しくありません。

「検査は問題ありませんでしたね」で帰っていただくのは、もちろんできます。

でも、それで何かが解決したかというと。

検査が答えを出してくれた問いと、本当に答えが必要だった問いは、同じではなかったかもしれません。